個人に金銭などの貸し付けを行う「消費者金融」のコマーシャルは、特徴的でインパクトがあり、記憶に残りやすく面白い内容のものを多く見かけます。
消費者金融CMの多くは、人気芸能人の起用も相まって、全体的に明るくさわやかなイメージが付いていますが、その狙いはどういったところにあるのでしょうか。
消費者金融におけるCM戦略を具体例を交えて紹介するとともに、CM出演者のギャラ相場についても解説を加えていきます。
消費者金融のCMには面白くて特徴的なものが多い
自動契約機の登場が面白いCMに火をつける
自動契約機が1990年代に登場すると、著名人や有名人によるCMが増え、「お金に困ったら自動契約機に行こう」というストーリーの作品が数多く登場するようになりました。
アコムが制作した「ラララむじんくん」シリーズは、セイン・カミュさんを中心に外国人タレントを起用し、彼らの流暢な日本語が視聴者に大きなインパクトを与えました。
その功績が認められ、全日本シーエム放送協会が主催する「CMフェスティバル」で賞を受賞するなど、業界内外から注目を集めたCMとしても知られています。
消費者金融のCMがブームに
アイフルのCMは「チワワのくぅ~ちゃん」によってチワワブームが起きただけでなく、共演したタレントの清水章吾さんがブレイクしたきっかけとなったCMとしても有名です。
また、タレントのバナナマンがホテルマンに扮した「ホテルシリーズ」も、ロングセラーとなり人気を集めました。
面白いCMは覚えやすく親しみやすさにつながる
インパクト重視のCM構成
消費者金融のCMは、斬新でインパクトがあり、面白い内容のものを多く見かけます。
「ラララむじんくん」シリーズは、宇宙人がお金を借りるというコンセプトが斬新でしたが、「ラララむじんくん」のフレーズやメロディが覚えやすく印象に残りました。
「チワワのくぅ~ちゃん」シリーズでは、ストーリー性のあるCMが好評で、アップで映し出されたチワワの表情に親しみやすさを覚えた視聴者を数多く見かけました。
チワワブームが起きたのも、アイフルのCMがきっかけだと言われています。
タレントイメージで親しみやすさをアピール
人気有名人を積極的に起用することで、消費者金融業界が潜在的に持っているネガティブな印象を、タレント力によって打ち消す役目を果たします。
タレント自身にとっても、メディアへの露出機会が増えるためWin-Winの関係ができているのが追い風要素になっています。
テレビ局としても、消費者金融業界はCMを出してくれる会社として重宝されていますが、特徴的なCMは覚えやすく、親しみやすさに結びつくため、スポンサーの採用につながっています。
サラ金時代の高金利というイメージから脱却
不景気と「サラ金」
1970年代に起きたオイルショックの影響で、社会全体の景気が悪くなったことから借金をする人が急増しました。
当時は、サラリーマンによる借入れが多かったのが特徴的ですが、「サラ金」と呼ばれるようになったのもこの頃がきっかけです。
サラ金時代は高金利
当時の金利は、年91.25%~102.2%と超高金利であるだけでなく、借金返済に向けて脅迫や暴力行為による取り立てがあったことでも知られています。
サラ金はネガティブでブラックなイメージがつきまとい、一般的には借りにくいイメージが付いていました。
中小の消費者金融業者の場合は、「街金」とも呼ばれており、マスコミによる批判的な報道が多く寄せられていた時期でもあります。
親しみやすいCMで身近な存在に
1990年代に入ると、自動契約機の出現と平行して消費者金融業界のテレビCMが解禁されましたが、面白くて明るいCMを出稿することで、ネガティブイメージからの脱却を図りました。
消費者金融業界各社がこぞって、親身で明るいCMを打ち出したことで、消費者金融業界を身近な存在としてアピールすることができただけでなく、クリーンな印象を植え付けることにも成功しました。
貸金業法の改正で金利や借入れ額も変化した
貸金業法の改正が追い風に
借金返済のために、他の消費者金融から借金をしてしまう「多重債務問題」を解決することを目的に、平成18年に貸金業法が改正されました。
総量規制による抑止効果
新しい貸金業法では、「総量規制」と呼ばれる新たな規制が制定されています。
借入残高が年収の3分の1を超えた場合に、新たな借入れができなくなる仕組みで、雪だるま式に借金が増えていくことを抑止する効果があります。
グレーゾーン金利の撤廃
上限金利の引き下げが行われ、出資法の上限金利を20%に引き下げ、利息制限法の上限と同様にすることで、「グレーゾーン金利」が見直されました。
貸金業務取扱主任者の設置義務
貸金業者に対しては、「貸金業務取扱主任者」を営業所に置くことを定め、規制強化が図られました。
貸金業法の改正に伴い、金利や借入額が変化したため、一般の人でも消費者金融が利用しやすくなりました。
銀行の傘下に!CMは人気女優や俳優も出演
銀行と消費者金融業者との関係
貸金業法の改正に伴い、借入れ金額の制限や上限金利の引き下げなど、返済総額を減らすことが可能になっただけでなく、他にも様々な効果をもたらしています。
業界の枠組みとして、消費者金融業界と銀行との利害関係が一致し、銀行の傘下に入る消費者金融業者が増えているのが特徴的です。
グレーゾーン金利の廃止に伴い、過払い金請求による消費者金融業界の資金繰りが困難になってきたことと、小口の顧客を確保したい銀行との思惑が合致し、多くの消費者金融業者が銀行系の子会社として活動をしています。
フィナンシャルグループの傘下に
「アコム株式会社」は、三菱UFJフィナンシャル・グループ、「SMBCモビット」はSMBCグループの傘下に入っています。
また、「プロミス」は、SMBCグループの完全子会社です。
そして、新生銀行の子会社に「ノーローン」、新生銀行カードローンとして「レイクALSA」があります。
クリーンでさわやかな芸能人の起用
消費者金融業界のCMには、人気俳優や人気女優を起用しており、クリーンでさわやかなイメージの維持に努めています。
気になるCM出演料
CMの出演料は、タレントのランクに依存しますが、消費者金融は一般的に高単価であることが知られています。
過去には消費者金融のCMが排除されたことも
マスコミによるサラ金批判
消費者金融のテレビCMは、1970年頃から放映されるようになりました。
1969年のプロミスを皮切りに、1975年にはアコムがテレビCMを制作しています。
この当時は、法外な貸付や、無理な取り立てが顕在化し、「サラ金問題」が社会問題になりました。
マスコミによるサラ金批判が高まり、民放各社が消費者金融のCMを放送しないよう自主規制をしていた時期もあります。
消費者金融業界の再編
1983年に出資法と貸金業法が改正されると、消費者金融業界の淘汰が進むようになりました。
生き残った消費者金融業界が、「サラ金問題」からの社会的な信頼回復に積極的に取り組んだことで、1980年代から徐々に緩和されるようになり、深夜時間帯を中心にテレビCMが再び流れるようになりました。
CMは消費者金融のイメージを変えた
CM効果による消費者金融イメージの向上
斬新でインパクトがあり、明るくてさわやかな印象を持ったCMを打ち出すことで、消費者金融業界のイメージを大きく変えていくことに成功しました。
自動契約機の浸透に伴い、お金を借りやすい環境づくりが整ってきたことも追い風になっています。
貸金業法の法改正で借りやすく
貸金業法の法改正に伴い、サラリーマンだけでなく他の利用者も安心して借りられるようになったのも、消費者金融のイメージを変えた要因として挙げられます。
カードローンは、返済可能な借入れ金額を定めることで、苦しむことなく借金を返済することが可能です。
無理のない返済計画を
様々なカードローン会社がある中で、自身の借入れ金額に見合う消費者金融業者を探し、無理のない返済計画を立てるようにしましょう。