医療費控除とは……?
支払う税金を減らせる制度です!
医療費控除についてわかりやすく解説していきますよ!
「医療費控除はお得らしいけどよくわからない」
「なんだか難しそう」
税金関連の話題は難しそうで、なんとなくそのままにしている人は多いはず。
控除をするかどうかで、節税できる金額は大きく異なります。
きちんと申請すれば1万円ほど節税できる場合もあるのです。
申請自体は難しくありませんから、医療費控除の仕組みとルールを確認しておきましょう。
国税庁の情報をよりわかりやすくまとめて解説していきますよ。
【今回の記事でわかること】
- 医療費控除とは?
- 医療費控除でいくらお得になる?期限はいつまで?
- 医療費控除を申請する流れ
- わからないときは専門家を頼る
医療費控除とは?
そもそも「医療費控除」とは何なのでしょうか。
1年間で支払った医療費が多い場合、所得税が安くなる制度の1つ、それが「医療費控除」です。
医療費控除をすれば、税金を節約できます。
医療費によっては1万円以上の節約ができますから、やっておいて損はありません。
自分で申告する多手間はかかりますが、それでも医療費控除をやる意味があるのです。
控除=支払う税金が減る
そもそも「控除」という言葉がよくわからない方もいることでしょう。
控除には、金額を差し引くという意味があります。
なかでも所得控除は、課税対象となる所得金額を減らせるものです。
税金は所得金額によって支払う金額が決まってきますから、控除をすることで支払う税金を減らせるわけですね。
医療費控除は、そんな所得控除の1つなのです。
医療費控除の条件は2つ
医療費控除をしてもらうためには、2つの条件をクリアする必要があります。
国税庁の文言を確認してみましょう。
(1) 納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
(2) その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。)。
(引用:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」)
わかりやすくいえば、自分や家族のために支払った医療費かどうか・実際に支払っているかどうかが重要なポイントとなるわけです。
上記の条件を満たすことができれば、医療費控除を適用してもらえます。
医療費控除の対象は?
病院や薬局に関するものであればなんでも医療費控除ができるわけではありません。
医療費控除の対象となるものは決められています。
対象は以下の通り。
- 病院や歯科医院での診療費・治療費
- 治療に必要な医薬品代
- 松葉杖や補聴器など治療に必要な器具の購入費
- 病院・介護施設・助産所などへの通院に必要な交通費
- あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師による施術費
- 入院・自宅療養時に病人への付き添いを頼んだ場合にかかる費用
- 助産師による分娩介助費用
- 介護保険の対象となる介護費用
重要となるのは「治療を目的としているかどうか」です。
風邪薬は医療費控除の対象ですが、ビタミン剤は対象外となります。
また疲れを癒す、体調を整えるといったマッサージも対象外です。
歯列矯正は医療費控除の対象となります。
また入院時の食事代も含まれる点に注意してください。
治療目的であれば、市販の医薬品も対象となるのです。
医療費控除の対象とならないもの
一方医療費控除の対象とならない物は以下の通りです。
- ビタミン剤・漢方薬の代金
- 健康診断の費用
- 予防注射の費用
- 美容整形の費用
- 自車での通院にかかったガソリン代
- 自分都合での差額ベッド代
健康診断で病気が発見され、治療を行った場合は対象となります。
健康増進目的では医療費控除の対象とならないわけですね。
また交通費はあくまで公共交通機関が対象であり、自分の車でのガソリン代は対象外となっています。
交通費がかなりかさむようであれば、公共交通機関を使ったほうがお得なわけですね。
控除金額は最大200万円
いくらでも控除してもらえるわけではありません。
医療費控除の対象となる金額は、最高で200万円です。
医療費控除をしてもらえる金額は下記の計算式で求められます。
その年の総所得金額が200万円未満であれば、10万円ではなく総所得の5%がひかれます。
たとえば入院や手術費用が100万円、そのうち30万円を保険金で受け取った場合を考えてみましょう。
100万-30万-10万=60万
上記の計算式により、医療費控除額は60万円と出ます。
所得のうち、60万円分の所得税が節約できるわけですね。
保険金で補填される金額とは
保険金で補填される金額とは、生命保険や健康保険で支給される金額のことです。
入院費給付金・高額療養費・出産育児一時金などが挙げられます。
補填金を受け取ると、その金額分だけ医療費から差し引かれ、控除額も減ってしまうことに。
保険金の計算も忘れずしておきましょう。
控除対象はたくさんあるんだね
交通費には要注意です
医療費控除でいくらお得になる?期限はいつまで?
医療費控除はいくらお得になるものなのでしょうか。
また、医療費控除ができる期限はいつなのでしょう。
そもそも、医療費が10万円以上発生しないことには医療費控除はできません。
医療費から少なくとも10万円を引いた金額、それが医療費控除の対象ですから当然ですね。
まずはいくらお得になるのかを考えてみましょう。
得する金額を知るためには、まず自分の所得金額を把握する必要があります。
医療費控除でお得になる金額
医療費控除は、課税される所得金額に適用されるものです。
課税される所得金額とは、年収103万円を超えた金額のこと。
例えば年収が104万円なら課税される所得金額は1万円です。
課税される所得金額によって、税率は変動します。
税率の幅は5~45%です。
医療費控除でお得になった金額は、控除額×税率で求められますから、税率がどれくらいかによってお得になる金額も変わります。
課税される所得金額と税率の関係は以下の表の通りです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 ~ | 45% | 4,796,000円 |
(参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」)
年収300万円なら、課税される所得金額は197万円、適用される税率は10%となるわけですね。
医療費控除額が10万円であれば、10万円分の税金がお得となります。
税率は10%ですから、10万円×10%で1万円分お得になるわけです。
医療費控除ができる期限
医療費控除は確定申告で行う必要があります。
提出期限は確定申告と同じです。
毎年2月16日から3月15日までの間に提出するようにしましょう。
つまり期限は3月15日というわけですね。
5年以内なら後からでも申請できる
自身で確定申告をしていない場合、医療費控除の申請をうっかり忘れてしまうこともあります。
医療費控除の申請のみ行うことを還付申告といい、還付申告の場合、5年以内であればいつでも申告が可能です。
つまり過去5年間の医療費控除が、今からでも申請できるのです。
今からでも遅くありません、医療費控除の申請をしましょう。
人によってお得度は変わるんだね!
お得になるのは間違いありませんよ!
医療費控除を申請する流れ
医療費控除のためには確定申告が必要です。
医療費がいくらか、受け取った保険金がいくらかまとめておきましょう。
また、医療費控除の明細書を作成しなくてはなりません。
医療費控除を新生する流れは以下の通りです。
- 医療費をまとめておく
- 医療費控除の明細書作成
- 確定申告書作成
1つずつ確認していきましょう。
①医療費をまとめておく
医療費控除をするためには、医療費がいくらか把握しておく必要があります。
対象となる医療費の領収書は捨てずにとっておきましょう。
また医療費控除をした後も、5年間は保管が必要とされています。
家族全員分の医療費をきちんと管理し、領収書を保管しておいてくださいね。
②医療費控除の明細書作成
医療費控除の明細書への取り組み方は大きく2つあります。
- 「e-Tax」で作成
- 税務署の窓口で直接手続き
「e-Tax」は国税電子申告・納税システムのことです。
要するに、ネットでやるか直接窓口でやるかというわけですね。
よくわからないのであれば、税務署の窓口で質問しながら作成するのがオススメですよ。
③確定申告書作成
医療費控除のみの申請であれば、確定申告書Aを提出すればOKです。
課税額や還付額を計算し、ミスの無いよう確定申告書を作成しましょう。
作成した確定申告書と医療費控除の明細書を、税務署に提出してください。
これで医療費控除の申請は完了です。
確定申告とは
自分が得るお金、儲けにかかる税金を自分で計算して生産することを確定申告といいます。
その年の所得と税金を計算して、翌年の2月16日~3月15日の間に申告書類を提出するのです
個人事業主・フリーランス・副業をしている会社員などは確定申告をする必要があります。
確定申告をする必要がない会社員等は、医療費控除のみの申告である還付申告を行えばOKです。
指示に従って作成するだけでいいんだね!
医療費を把握できていれば難しくありませんよ
わからないときは専門家を頼る
計算が面倒くさい、お金の管理をしてきていなかったからよくわからない……。
そんな時は専門家の力を借りましょう。
税理士にまずは相談です。
相談だけなら無料のところも多いですから、電話だけでもかけてみてくださいね。
FPではなく税理士へ
お金の相談といえばFP、ファイナンシャルプランナーが思い浮かびます。
とはいえ、税務関連に関してはFPではなく税理士に相談するようにしましょう。
ファイナンシャルプランナーは、あくまで資金計画を練ったり相談に乗るのがメインの仕事です。
確定申告書を作成したり所得税を計算したりするのは法律で禁止されていますから、FPに相談しても解決しない可能性があります。
医療費控除で悩んだときは、専門家である税理士に相談してくださいね。
まずは電話だね!
お金がかかりそうなときは、複数に相談して見積もりを出してもらいましょう
まとめ
【医療費控除とは?】
- 控除=支払う税金が減る
- 医療費控除の条件は2つ
- 治療を目的としているものが対象
- 控除金額は最大200万円
【医療費控除でいくらお得になる?期限はいつまで?】
- いくらお得になるかは所得金額によって異なってくる
- 期限は3月15日
- 5年以内なら後からでも申請できる
【医療費控除を申請する流れ】
- 医療費をまとめておく
- 医療費控除の明細書作成
- 確定申告書作成
【わからないときは専門家を頼る】
- FPではなく税理士へ
おわりに
医療費控除はなんだか難しいような気もしてしまいますが、日ごろから医療費がいくらかまとめていれば簡単に申請できます。
税金の節約につながりますから、忘れず申請しておきたいですね。
どうしてもわからないときは、税理士に相談してみましょう。
医療費控除の新背は5年前までさかのぼって行えます。
損をすることがないよう、医療費がいくらなのか把握しておきましょう。
さっそく医療費控除申請の準備をしようっと!
日ごろからお金の管理をしておくと申請もラクですね!