103万の壁って何?
所得税が発生するラインのことです。
他にも収入の壁はいくつかあるため、わかりやすく解説しますよ!
「103万円を超えちゃいけないとは聞いたけどなんで?」
「収入の壁がそれぞれどう違うのかわからない」
たくさんある収入の壁に混乱している人は多いはず。
結局103万円は超えるべきなのか、超えずに押さえておくべきなのかは悩みどころですよね。
今回は収入の壁について解説しつつ、いくら稼ぐべきなのか理想の収入を導き出します。
国税庁の情報を見てもわからない方に向けて、わかりやすく解説していきますよ。
【今回の記事でわかること】
- 103万円の壁とは
- 他にもあるさまざまな収入の壁
- 収入の壁を超えるメリット・デメリット
- 年収は106~130万円ぐらいが理想?
- 悩んだら税理士に相談しよう
103万円の壁とは
年収は多ければ多いほど嬉しいものですよね。
とはいえ、ある程度年収が増えると「所得税」が発生します。
103万円の壁とは、その所得税が課税されるラインのことです。
年収が103万円を超えると、超えた金額分だけ税金がかかります。
アルバイトやパートで働いている方が大きく関係する壁ですね。
親の扶養家族でも関係してくる
学生やフリーターで、まだ親の扶養家族となっている場合でも「103万円の壁」は関係してきます。
年収が103万円を超えると、親の税金負担が大きくなってしまうのです。
自分に直接かかわってくる話ではありませんが、親の元で暮らしているのであれば無駄な負担は避けておきたいもの。
103万円を超えるかどうかは、親に相談してから決めるのがいいかもしれません。
ちなみに配偶者のいる主婦・主夫には、また別の壁が存在します。
税率は5~45%
103万円を超えると、超えた金額分だけ所得税が発生してきます。
所得税は5~45%。
かなり幅がありますよね。
税率45%ともなれば、かなりの負担になってしまいます。
また収入100万円を超えれば、住民税も発生する点に注意してください。
所得税の税率表
金額によって税率は変わってくるため、表で確認してみましょう。
あくまでも「課税される所得金額」である点に注意してください。
収入113万円であれば、課税分は13万円です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 ~ | 45% | 4,796,000円 |
例えば年収303万円の場合。
課税される所得金額は200万円です。
つまり「200万×10%-97500=102,500」、支払う所得税は10万2,500円というわけですね。
なぜ103万円なのか
どうして103万円が境目となっているのでしょうか。
所得税が発生するラインが103万円である理由には、収入から差し引かれる「控除」が関係してきます。
所得税の基礎控除48万円と、給与所得控除55万円。
これらの控除を合わせると、103万円となるわけですね。
控除とは、税金の負担を調整するために設けられたものです。
収入の103万円分までは控除をしてもらえるから、103万円の壁といわれるようになったわけですね。
所得と控除をわかりやすく
所得と控除、わかるようでいまいちわからないこの言葉を改めて確認しておきましょう。
「所得」は実際に手にするお金のことです。
1万円の商品を売ったとしても、人件費や原材料費がかかってきますよね。
実際には1万円ではなく、それより少ない金額を手にします。
経費が2,000円であれば、1万円から引いて所得は8,000円です。
「控除」は一定の金額を差し引くという意味を持ちます。
所得控除・税額控除があり、税金の負担を軽くしてくれるものです。
所得控除は、課税対象となる所得金額を減らせるもの。
税額控除は、税金そのものを減らせるものです。
今回の収入の壁では、所得控除が大きく関わっているわけですね。
交通費や通勤手当は含まれない
収入103万円には、交通費や通勤手当は原則含まれません。
税法上、交通費や通勤手当は所得に当てはまらないからです。
とはいえ、1か月あたりの交通費が15万円を超えると課税対象となるため注意してください。
また日給制かつ給料に交通費が含まれている場合は、収入に含まれてしまう点にも気をつけておきたいですね。
103万円までなら所得税は発生しないんだね
103万円を超えてはいけない理由は税金にあったのです
他にもあるさまざまな収入の壁
働くうえで無視できない「収入の壁」ですが、世の中にあるのは103万円の壁だけではありません。
103万円の壁以外にもある「収入の壁」を確認しておきましょう。
- 106万円の壁
- 130万円の壁
- 150万円の壁
103万円と150万円は税金の控除に関わる壁です。
一方、106万円と130万円は社会保険の支払いに関わる壁。
それぞれどういう壁なのか、わかりやすく解説していきますよ。
106万円の壁
まずは106万円の壁です。
ひとことで言ってしまえば、「社会保険料の壁」がこの106万円の壁。
年収が106万円を超えると、社会保険に加入する必要が出てきます。
そうなれば厚生年金・健康保険料を支払うこととなり、負担が大きくなってしまう……。
それで「106万円の壁」と言われているわけですね。
とはいえこの106万円の壁、どんな会社で働いていても適用されるわけではありません。
また学生は対象外です。
パートやアルバイトで働くフリーターや主婦の方に関係してくる壁となります。
106万円の壁が発生する条件
収入が106万円を超えると、社会保険に加入する必要がでてきます。
働く会社によって「社会保険料の支払いが必要でない」ことも。
106万円の壁が発生する条件は以下の通り。
- 正社員の数が501人以上
- 月収が88,000円以上
- 1年以上働いている
- 所定労働時間が週20時間以上
- 学生ではない
上記の条件を満たして初めて、106万円の壁がうまれます。
ギリギリ106万円を超えてしまうと、むしろ社会保険料によって手取り額が減ってしまう可能性があるのです。
130万円の壁
106万円の壁とおなじく、社会保険に関する壁が「130万円の壁」です。
先ほどの106万円の壁に関係がなかった人の、社会保険への加入義務が発生するラインが130万円となっています。
「130万円の壁」は学生も該当してきますから、重要な年収ラインだといえるでしょう。
年収が130万円を超えると、親や配偶者の扶養から外れてしまいます。
自分で社会保険に加入し、保険料を支払わなければならないのです。
保険料は20万円程度となってきますから、大きな負担となってしまうでしょう。
社会保険に加入するメリットもある
130万円の壁を超えるメリットもあります。
社会保険に加入することで、将来もらえる年金の金額が増えるからです。
厚生年金を支払うこととなるためであり、老後の生活が楽になります。
会社によっては、条件を満たすことで会社の社会保険に加入することも可能です。
会社の社会保険であれば、健康保険料の半分を会社が負担してくれるためかなり楽になりますね。
保険に入ることは、デメリットばかりではないのです。
150万円の壁
最後のご紹介するのが「150万円の壁」です。
扶養者の配偶者特別控除を、満額38万円受け取れる上限年収が150万円となっています。
わかりやすくいえば、妻の年収が150万円を超えると夫側の控除分が減ってしまうということです。
150万円を超えると、税金の控除がどんどん減ってしまいます。
配偶者特別控除は、配偶者の収入が150万円以内であれば38万円分控除されるもの。
201万円を超えると、控除額は0となってしまいます。
年収 | 控除額 |
---|---|
~150万円 | 38万円 |
~155万円 | 36万円 |
~160万円 | 31万円 |
~167万円 | 26万円 |
~175万円 | 21万円 |
~183万円 | 16万円 |
~190万円 | 11万円 |
~197万円 | 6万円 |
~201万円 | 3万円 |
201万円~ | 0円 |
控除額は上記の通りです。
201万円の壁もあるといえますね。
収入の壁はたくさんあるんだね……
どこまで壁を超えるべきかは重要な問題です
収入の壁を超えるメリット・デメリット
収入の壁を超えるかどうかは悩ましいところです。
たくさん稼ぎたいと思っても、場合によっては無駄な働きになる可能性があります。
壁を超えるかどうかは、収入をいくら求めるか次第です。
収入の壁を超えるメリットとデメリットを把握して、年収いくらを目指すか決めましょう。
収入の壁を超えるメリット3つ
収入の壁を超えるメリットは3つあります。
- 好きなだけ稼げる
- 万が一に備えられる
- もらえる年金額が増える
1つずつ確認していきましょう。
メリット①好きなだけ稼げる
収入の壁があることで、「これ以上今年はもう稼げない」なんて事態が起こります。
一度壁を越えてしまえば、稼ぐ上限を気にする必要はありませんよね。
時間が許す限り、好きなだけ稼ぐことができるのです。
たくさん稼ぎたいのであれば、収入の壁は超えてしまいましょう。
メリット②万が一に備えられる
106万円の壁を超えると、社会保険に加入する必要があります。
健康保険に加入すれば、万が一の時でも安心ですね。
厚生年金では、障害厚生年金の制度もあるため入っておいて損はありません。
将来のことを考えるのであれば、収入の壁を超えるのも選択肢の1つなのです。
メリット③もらえる年金額が増える
厚生年金は、国民年金より支払う金額が多くなっています。
支払う金額が多い分、将来もらえる年金もより多い金額に。
老後が不安であれば、収入の壁を越えておきましょう。
払える時に払っておいたほうが、安心して生きていけますよね。
収入の壁を超えるデメリット2つ
収入の壁を超えるメリットがあれば、デメリットも存在します。
- 税金が発生する
- 手取りが減る可能性
2つのデメリットを確認しておきましょう。
デメリット①税金が発生する
103万円の壁を超えると、所得税が発生してしまいます。
大きな負担にはならないかもしれませんが、負担は負担です。
数万円超えれば数千円の税金を支払わなければなりません。
むしろ注意したいのが、「扶養手当(家族手当)」がなくならないかどうかです。
配偶者が働いている会社の扶養手当も、収入103万円の上限で設定していることが一般的。
103万円の壁を超えることで、税金が発生するどころか手当がもらえなくなってしまうかもしれないのです。
デメリット②手取りが減る可能性
106万円の壁・130万円の壁を超えると、社会保険料で大きく手取りが減るかもしれません。
社会保険料は約20万円、決して小さな金額ではないですよね。
壁を超えるのであれば、数万円ではなく20万円以上プラスで働く必要があるのです。
それだけたくさん働かなければなりませんから、稼げるかどうか計算したうえで壁を超えたほうが良いでしょう。
メリットもあればデメリットもあるんだね!
メリットは活かしつつ、デメリットは避けていきたいですね
年収は106~130万円ぐらいが理想?
収入の壁があることはわかりました。
実際のところ、いくらぐらいの収入にするのがベストな選択といえるのでしょうか。
収入に大きく影響があるのは、106万円の壁と130万円の壁です。
約20万円という社会保険料は大きな壁ですよね。
100万円以上稼ぎたいのであれば、130万円にギリギリ届かないくらい稼ぐのがオススメです。
職場によっては106万円が境目ともなるため注意してください。
130万円以上稼ぐなら160万円以上を目指す
130万円以上稼ぎたい、そんな時は160万円以上を目指して下さい。
年収120~140万円は、社会保険料もあって手取りがほぼ変わらない金額です。
支払う保険料以上のプラスが出てくるのは、160万円以上となります。
130万円を超えてしまいそうになったら、いっそ160万円以上稼ぐのも手です。
配偶者の家族手当の条件を確認しておこう
会社によって名称は異なりますが、家族手当・扶養手当といった配偶者の手当の条件はきちんと確認しておきましょう。
条件によっては、その金額をこえると手当が受け取れなくなってしまいます。
損をする可能性があるのです。
多くの会社では103万円が上限で設定されているため、いくら稼ぐかは配偶者と相談しておきましょう。
収入はその年の1~12月で計算
収入の壁を気にするうえで「いつからいつまでの収入で考えればいいのか」気になる方もいるはず。
実際のところ、収入はどこで計算すればいいのでしょうか。
自分の収入がいくらかは、その年の1~12月に支払われる給与で計算してください。
12月の給与が翌年の1月に支払われる場合、それは翌年分の収入です。
うっかり計算ミスをして、収入の壁を越えてしまわないよう注意したいですね。
130万円の壁には要注意だね
いくら稼ぎたいのかよく考えてみましょう
悩んだら税理士に相談しよう
いくら稼いで良いものか悩んでしまう、いまいち話が難しくて理解できる気がしない……。
そんな時は税理士に相談してみましょう。
お金の専門家が的確にアドバイスをしてくれますよ。
初回相談無料なところも多いですから、まずは電話だけでもしてみてください。
税理士に相談する流れ
まずは相談する税理士を探しましょう。
特にこだわりがなければ、無料相談ができる相手を選ぶのがオススメ。
電話かメールで申し込み、収入の壁を超えるべきかどうか相談してみましょう。
場合によっては確定申告書や預金通帳を用意する必要があります。
実際にお金が発生しそうな場合は、2社以上から見積もりをもらうようにしましょう。
必要最低限のお金で、収入の壁を超えるべきかどうか知りたいですね。
自分1人で解決する必要はないもんね
頼れる相手はどんどん頼りましょう
まとめ
【103万円の壁とは】
- 所得税が課税されるライン
- 超えた分だけ課税される
- 親の扶養家族でも関係してくる
- 税率は5~45%
- 交通費や通勤手当は含まれない
【他にもあるさまざまな収入の壁】
- 106万円の壁
- 130万円の壁
- 150万円の壁
【収入の壁を超えるメリット3つ】
- 好きなだけ稼げる
- 万が一に備えられる
- もらえる年金額が増える
【収入の壁を超えるデメリット2つ】
- 税金が発生する
- 手取りが減る可能性
【年収は106~130万円ぐらいが理想?】
- 130万円ににギリギリ届かないくらい稼ぐ
- 130万円以上稼ぐなら160万円以上を目指す
- 配偶者の家族手当の条件を確認しておこう
- 収入はその年の1~12月で計算
【悩んだら税理士に相談しよう】
- お金の専門家が的確なアドバイスをしてくれる
おわりに
収入の壁は「103万の壁」だけではありません。
重要な収入の境目ともいえる壁が複数存在していますから、いくら稼ぎたいのか事前によく考えておく必要があります。
結局手にする金額はいくらなのか、超える収入の壁によって変わってくる可能性があるのです。
また自分だけの問題ではないこともあります。
配偶者や親とも相談して、収入をいくらにするのか決めてくださいね。
とにかく稼げばいい、ってわけでもないんだね!
オススメは収入130万円にギリギリ届かないラインです