これから株を始めてみようと考えている初心者の中には、まず何から勉強すべきなのか分からないケースもあるのではないでしょうか。
株と一言で表しても、その内容は非常に奥深く、専門用語も多数存在します。
そこで今回は、株の初心者が知っておくべき勉強の流れや確認方法、最初に覚えておくべき項目についてお伝えします。
【今回の記事でわかること】
- 株初心者が事前に確認しておくべきポイント
- 株取引のトレードスタイルを決める
- 銘柄の選び方や取引のルールを決める
- 株にもPDCAを取り入れる
この記事を書いた人
菊地 祥
FP3級技能士、投資信託5年目、株式投資9年目。2018年からフリーランスとしてwebライティングやメディア運営を行っています。また、webライターとしては株式投資や投資信託、クレジットカード、などといった金融に加えて他ジャンルも執筆。
HP:好きなことで生きる!フリーライター
株初心者が事前に確認しておくべきポイント
株を始めたり株の勉強を行ったりする時は、現時点でどの程度知識や経験があるのか確認しておくのも大切です。
まずは、勉強及び取引の前に確認しておくべきポイントを段階別に解説します。
株について詳しく知らない
「株」という言葉や売買で利益を得ることは何となくイメージできる、株という言葉以外何もよく知らない場合は、まず株の仕組みや意味について勉強する必要があります。
株は「株式投資」の略称で、株式市場に上場している企業の株式を売買もしくは、一定の条件を満たした状態で保有し続けていると配当金や株主優待を得ることができます。
売買益、配当金、株主優待の主な意味は以下の通りです。
- 売買益:株式を安く買って高く売ることで利益を得られる(※空売りは逆になります)
- 配当金:企業が得た利益の一部を株式の保有数に応じて得られる
- 株主優待:一定の株式を保有していると企業の商品や特典を貰える
配当金や株主優待は、株式を一定期間保有しますので頻繁に売買せずに済むのが特徴です。
一方売買益は、短期もしくで長期で株の売買を繰り返すのが特徴です。
そして、株取引を始めるためには、証券会社で口座開設手続きを行い、投資用の資金を入金しておく必要があります。証券会社は、SBI証券やマネックス証券、松井証券などが代表的です。
取引を始める流れは以下の通りで、一般的に口座開設完了まで数日程度かかります。ただし、証券会社によっては、即日で口座開設手続きできる場合もあるため、各証券会社のサービスを確認しておくのも大切です。
- 証券会社を選ぶ
- 口座開設手続き
- 審査
- 口座開設完了
- 入金操作
- 入金の確認
- 銘柄を選ぶ
- 株式を購入
- 株式を売却
- 利益or損失
- 次の取引
証券会社に入金した資金は、任意のタイミングで出金できます。
まずは、株の売買、配当、株主優待の意味と、口座開設の流れを覚えておくのが基本です。
株取引の仕組みは理解している
口座開設や株取引の仕組みまで理解している場合は、より詳しく株式市場の仕組みや注文方法、取引方法などについて把握するのも大切です。
一般投資家が参入している国内の株式市場は、主に東証一部、東証二部、マザーズ、ジャスダックの4種類です。
東証一部は、いわゆる大手企業が数多く上場している市場で、出来高の多さなども特徴といえます。また、日経平均株価は、東証一部の225銘柄を基準に計算しています。
東証二部は、中堅企業が上場している市場で、一般の方に知られている企業も多い傾向です。値動きは、東証一部よりも多少幅のある側面もあります。
マザーズとジャスダックは、ベンチャー企業が数多く上場しています。ジャスダックの中には、スタンダードとグロースに分かれていて、それぞれ上場審査において重視しているポイントが異なります。スタンダードは事業経営の安定性、グロースは事業の成長性などを重視しているのが特徴です。
そして、株の注文方法は、指値と成行注文だけではありません。
- 指値注文:現在価格以下の買い価格、以上の売り価格で注文できる方式
- 成行注文:現在価格の上限で買い、下限で売り注文を行う
- 逆指値注文:現在価格に対して○○円以上で買い注文を発注(売りは逆)
- 寄付成行:株式市場が開いた直後に成行で注文を発注
- 寄付指値:株式市場が開いた直後に指値で注文を発注
- 引け成行:株式市場が閉じる直前に成行で注文を発注
- 引け指値:株式市場が閉じる直前に成行で注文を発注
- OCO注文:指値と逆指値を同時に注文
上記以外の注文方法もあるので、気になる方は調べてみるのもいいでしょう。
寄付の注文時間は、株式市場が開く9時および9時直後を指します。一方引けは、株式市場が閉じる15時前に発注した注文を指しています。
株取引の流れを理解した方は、各注文方法と株式市場の上場に関する審査条件や特性についても勉強してみるのが大切です。
株を始めて数回取引経験がある
証券会社で口座開設手続きを済ませ何度か株取引を行っている方は、初心者から中級者へとステップアップするために、トレードスタイルや取引に関する戦略、銘柄分析に関する勉強へ進むのが大切です。
株の売買で利益を積み上げるには、取引に関する細かなルール作りや銘柄選び、売買のタイミング、損失の計算などさまざまな知識や準備もポイントとなります。
次の項目では、株の取引を始め方に向けてトレードスタイルなど、いくつかの基本的な取引技術や考え方について紹介します。
株取引のトレードスタイルを決める
先程お伝えしたように、ここからは株取引を何度か行った方が把握しておくべきトレードスタイルについて解説します。
トレードスタイルとは、株の保有期間をはじめ取引のベースとなる部分のことです。
1日で取引を完結させるデイトレード
株取引の中でも、1日で取引を完結させる取引方法をデイトレードと呼びます。
株式市場は、平日の9時から15時まで開いているので、9時以降に購入した株を同日の15時(引け)までに全て売却します。
専業投資家によく見られるトレードスタイルで、数時間のスパンで売買したり数秒の間で売買したりと、デイトレードの中でも細かく手法は分かれています。
基本的に15時以降(引け)に銘柄選びや株式に関連する情報を整理し、翌日の取引に向けた準備を行います。そして、翌日の8時頃にパソコンの電源を入れて証券会社へログインし、9時から取引を始めます。
なお、数秒の間で売買を完了する取引方法は、スキャルピングトレードとも呼ばれています。スキャルピングトレードは、1円や2円といった小さな値幅で売買を行うので、何度も取引を繰り返さなければ一定の利益を確保しにくい難易度の高い方法です。
平日休みという方や専業投資家を目指す方は、デイトレードに関する書籍で勉強してみるのもいいでしょう。
数日から数か月程度株を保有するスイングトレード
株式を数日から数か月後に売却するのが、スイングトレードです。買いと売りのスパンは、デイトレードよりも長く短期間に何度も取引しないのも特徴とです。
スイングトレードで株取引を始める時は、土日に銘柄選びと注文を済ませて、平日の夜5分から10分程度で保有銘柄の株価チェックや売り注文などといった簡単なメンテナンスを行うこともできます。また、平日の日中に株価をチェックしたり注文を入れたりする必要がないので、会社員の方や平日日中は忙しい方も取り入れやすいスタイルといえます。
スイングトレードは、日をまたいで株式を保有するため値動きの激しい銘柄を選ぶのはハイリスクな側面もあります。そのため、出来高が厚く、1日の値動きが比較的落ち着いている銘柄から比較検討するのも大切なポイントです。
1年単位で株を保有する長期投資
長期投資は、1年単位で株を保有し続けるトレードスタイルを指します。長期間株式を保有する主なメリットは、一般的に1日や数日単位の細かい値動きを気にかける必要がない点です。
一方、1回の取引で発生する損益は、デイトレードやスイングトレードと比較して大きい場合もあるため注意が必要です。例えば分散投資を行って、1銘柄の損失を別の利益でカバーする方法も考えられます。
5年・10年単位と時間をかけて資産を形成したい方には、取り組みやすいスタイルともいえます。
銘柄の選び方や取引のルールを決める
継続的な利益を目指す上で、取引や銘柄の選び方に関してルールを作るのも大切です。取引や銘柄選びに関するルールを決めると、どこを修正すれば改善できるのか検証しながら進めることができます。
それでは、基本的な取引ルールや注意すべき点について解説します。
トレードスタイルに応じて銘柄選びの基準を決める
前半でお伝えしましたように株式市場は、東証一部・東証二部・ジャスダック・マザーズの4種類に分かれています。
デイトレードは、数秒・数分・数時間程度の間で利益を積み重ねる必要があるので、値動きの大きなマザーズやジャスダックから比較検討する考え方もあります。
反対にスイングトレードは、数日以上株式を保有し続けるので、1日の値動きが比較的落ち着いている東証二部や東証一部から比較検討する考え方もあります。
長期投資は、短中期的な値動きではなく企業の成長性や業績、財務体質などから判断します。また、割安でまだ株価が成長しきっていない銘柄から選ぶのも大切なので、東証一部以外の中小型株から比較する場合もあります。
銘柄を選ぶ時は、トレードスタイルを決め手から調べると時間をかけずに比較検討可能です。
損失の許容範囲を決めておく
株初心者の中には、銘柄選びや自己資金量などに関心を持っている方も多いかと思います。しかし、株の売買で利益を積み重ねる場合は、損失に関しても向き合う必要があります。
株初心者の場合は、まず損切りの金額もしくはラインを決めておくのが大切です。
損切りは、保有中の株が購入時より安くなっている状態での売却を指します。
例:購入時1株100円、売却時1株80円、-20円の損失が確定
この損切りを毎回直感で行ってしまうと、早々に株取引を引退しなくてはいけない事態に直面します。
なぜなら、損失額を理解していない上に、毎回大きな損失を抱えてしまうリスクも生じているからです。
例えば自己資金10万円で損切り5万円の場合は、次の取引で当初の50%しか投資に回す資金がありません。また、損失が大きい程、1回の取引で損失をカバーするのは難しい点にも注意が必要です。
そのため、株取引を継続するためには、早めの損切りが大切です。早めの損切りを行うことができれば、次の取引で損失をカバーできる可能性もありますし、精神的な焦りを軽減できます。
さらに売買の前に損切りを行う価格も決めておくと、万が一損失を被った場合の資産も想定できます。
損切り率に関しては、トレードスタイルや自己資金量、目標の利益、銘柄によって変わるので株式投資関係の書籍や講座などから勉強してみるのがいいでしょう。
利益を確定するルールを決めておく
株の損切りだけでなく、利益を確定するためのルールについても考えておくのが大切です。
株初心者の中には、含み益が出たらすぐに利益確定してしまう方もいるのではないでしょうか。(含み益:株を保有している時に発生した見込み利益)
しかし、ルールを確定せず感覚で利益を確定していると、損大利小になる可能性もあります。
例えば株取引を始める前に、どの程度の含み益が出たら利益確定するのか決めておくと落ち着いて取引を進めることができます。
利益率や利益額に関しても、損切りと同じく時と場合によって変わるので書籍などから勉強してみるのがいいでしょう。
順張りと逆張りについて把握しておく
順張り投資とは、株価の流れに沿って買いと売りを繰り返す手法のことです。一般的には、上昇し始めのポイントで買い注文を発注し、天井付近で売ります。天井は、株価が下落相場へ切り替わる直前のポイントを指します。
一方逆張り投資は、株価が底を打った前後で買い注文を発注し、その後の反発で売る手法になります。底とは、株価の下落が止まったポイントで、反発は下落後の上昇のことです。
順張りと逆張りどちらの手法で取引を進めるかによって、テクニカル指標の種類や売買のタイミング、銘柄選びなどに違いが出てきます。
例:銘柄選び
- 順張り:下落が止まった銘柄、上昇中など
- 逆張り:下落相場の銘柄、上昇相場で一時的に下落している銘柄など
売買のタイミングなどで悩んでいる株初心者は、上記のような手法も基準にしながら考えてみてはいかがでしょうか。
株にもPDCAを取り入れる
何も考えずに取引を繰り返すのはギャンブルと同じなので、なぜ利益が出たのか、なぜ損失が出たのか原因の分析や改善ができません。
利益目標や取引ルール、手法を定めたら取引を行い、取引後の勝率や損益額などといった結果を分析し、反省と改善を行うのが利益を積み重ねるポイントの1つです。
つまり、PDCAの考え方と同じです。
PDCAは、品質管理などで使用されている用語で、計画・実行・評価・改善といった作業を行い品質向上を目指します。
株初心者の中で、同じパターンの損失を何度か繰り返している方は、特に目標設定と取引方法に関するルール作り、実行と分析、改善を繰り返してみるのが大切です。PDCAは、問題の原因を見つけたり改善方法を比較検証したりできるのが、大きなメリットです。
何も考えずに取引を繰り返すのはギャンブルと同じなので、なぜ利益が出たのか、なぜ損失が出たのか原因の分析や改善ができません。
まとめ
株を始める時は、まず自分の知識がどの段階なのか整理した上で、何を勉強すべきなのか考えるのが大切です。また、株取引では、トレードスタイルや取引のルール、目標設定と検証など、事前に決めておいた方が後々改善しやすいポイントもあるので、落ち着いて1つ1つ確認しておきましょう。
株に関心を持っている初心者の方は、今回の記事を参考に準備を進めてみてはいかがでしょうか。