FXでは、自分の保有する資産以上のトレードが可能です。
特に海外取引所を利用すれば、1000倍のレバレッジをかけられます。
そのため少ない証拠金で、効率よくトレードできるのです。
しかしFXトレーダーの中には、「ハイレバレッジは危険」、「海外取引所の利用は止めた方が良い」と考えている方がいます。
果たして本当にハイレバレッジは危険なのでしょうか?
この記事では、FXの基本について解説した上で、ハイレバレッジトレードの魅力や注意点について解説します。
【今回の記事でわかること】
- FXとは?
- レバレッジの魅力
- ハイレバレッジはとても効率的なトレード方法
- ロスカットと追証について
- 大切なのは資金管理
- 海外FX取引所ならゼロカットシステムも
池田昇太
金融ライター
大学卒業後、介護施設に就職。本業と並行しながら、FP技能士2級を取得。過去に投資詐欺に遭った経験があることから、「人々のお金の不安を解消したい」という想いを抱きつつ、FPとして相談・執筆業を行う。資産運用や保険などについての ウェビナーも実施している。
FXとは?利益を得る仕組みを解説
はじめにFXの基礎を解説します。
FXとは「外国為替証拠金取引」のことであり、海外のお金の売買を通して利益を得る投資方法です。
つまり、通貨を安く買い、高く売って差益を得ます。
例えば1ドル=101円の時に1ドルを購入するとしましょう。
その後、1ドル=102円に値上がりしました。値上がりしたタイミングでドルを売れば、売却価格102円から購入価格101円を引いて、1円の利益です。
反対に、「通貨を高く売り、安く買い戻す」ことで利益を得る方法もあります。
仮に1ドル=105円の時に、1ドルを売ったとしましょう。
その後、1ドル=103円に値下がりしたタイミングで再び1ドルを買えば、売却価格105円から購入価格103円を引いて、2円の利益です。
「FXは売りからでも始められる」という話は、イメージしにくいかもしれません。
特にFX初心者の方であれば、「持ってもいない通貨を売るってどういうこと?」と疑問に感じるでしょう。
このように考えてください。
ドルを売りから入る場合、始めにFX取引所からドルを借り入れます。
そして借りたドルをすぐに売り、ドルが安くなったところで、ドルを買い戻すのです。
- FX取引所からドルを借りる
- 借りたドルを売って、円を買う
- ドルの価値が下がったところで円を売って、ドルを買い戻す
- FX取引所にドルを返す
以上のようにFXは、買い・売りのどちらからでも始められます。
どちらもやり方でも、通貨の売買差益で利益を得ることに変わりはありません。
レバレッジの魅力!資金の何倍もの金額を動かせる
先ほど、1ドル=101円で購入し、1ドル=102円になった時に売却すれば、1円の利益になると解説しました。
しかし実際にトレードする際は、より大きな通貨数になります。
FXで取り扱う通貨単位は、基本的に1000通貨以上です。
もし1ドル=100円の時に1000通貨をトレードする場合、必要な日本円の額は10万円。
とはいえ、本当に10万円を用意する必要はありません。
FXでは証拠金(頭金)を用意することで、自分が保有する金額以上の通貨数をトレードできるのです。
これを「レバレッジトレード」と呼びます。
日本のFX取引所では、最大レバレッジ25倍でトレード可能。
レバレッジ25倍の時に用意する証拠金は、トレード通貨数の1/25で済みます。
つまり、1ドル=100円の時に1000通貨をトレードする場合、必要な日本円の額は10万円の1/25であるため、4000円になるのです。
※トレード通貨数1000通貨÷レバレッジ倍率25=必要証拠金4000円(1ドル=100円)
このようにレバレッジトレードでは、自分の保有資産以上の通貨数を取り扱えるのです。
海外FX取引所では国内以上のレバレッジでトレードできる
日本国内のFX取引所は、レバレッジ上限が25倍。
一方で海外のFX取引所は、レバレッジ規制がありません。
したがって、日本国内では不可能な倍率でトレードできます。
例えば海外FX取引所「GEMFOREX」では、最大レバレッジが1000倍です。
仮に4000円を証拠金にしてレバレッジ1000倍をかけた場合、400万円分のトレードが可能になります。
ただし、FX取引所の口座残高により、レバレッジ規制をかけているところがあるのでご注意ください。
GEMFOREXの場合、口座残高が200万円未満であれば最大レバレッジ1000倍ですが、200万円以上であれば最大レバレッジ500倍に下がります。
つまり、入金額が多いと、レバレッジ規制をかけられるのです。
「ハイレバレッジは危険」という意見
海外FX取引所のレバレッジ倍率は日本よりも高いため、トレード時の資金効率が上がります。
しかしハイレバレッジトレードに対しては、批判的な声もあります。
FXトレーダーの中には、「レバレッジを上げるのは危険だ」、「だから海外取引所は使わない方が良い」と主張する方がいるのです。
なぜハイレバレッジトレードは危険と言われているのでしょうか。
その理由は、大きな通貨数でトレードできるためだと考えられます。
通貨数が大きくなれば、損失額も大きくなるため、危険と考える方がいるのでしょう。
例えば証拠金10万円に1000倍のレバレッジをかければ、1億円分のトレードが可能です。
もし1ドル=100円の時に1億円分のドルを買えば、100万ドルをトレードできるでしょう。
しかし100万ドルの購入後、1ドル=99円に下がれば、購入した100万ドルの価値は9900万円に下がってしまいます。
つまり、1円下がるだけで100万円の損失になるのです。
※1ドル=100円の時:100万ドルの価値は1億円
1ドル=99円に下がった時:100万ドルの価値は9900万円
つまり100万円の損失
一方、国内FX取引所で25倍のレバレッジをかけた場合を考えてみましょう。
証拠金10万円に25倍のレバレッジをかければ、250万円分のトレードができるので、2.5万ドルを買えます。
その後ドルの価値が1円下がると、購入した2.5万ドルの価値は247万5000円に下がるのです。
すなわち、1円下がった時の損失額は2万5000円になります。
※1ドル=100円の時:2.5万ドルの価値は250万円
1ドル=99円に下がった時:2.5万ドルの価値は247万5000円
つまり2万5000円の損失
このようにレバレッジ1000倍と25倍を比較すると、同じ1円の下落でも大きな差が生じます。
トレード通貨数が増えるにつれて、値動きに対する含み損は大きくなるのです。
しかしハイレバレッジはとても効率的なトレード方法
たしかに海外FX取引所によるハイレバレッジトレードは、大きな通貨数を取り扱えるため、損失額も大きくなりがち。
しかしリスク管理さえできていれば、ハイレバレッジトレードは便利な方法です。
もし500万円分のトレードをする場合、レバレッジ25倍であれば20万円の証拠金が必要になるでしょう。
一方でレバレッジ1000倍であれば、必要な証拠金は5000円で済むのです。このようにレバレッジの高い方を選べば、資金効率は上がります。
とはいえハイレバレッジトレードに対しては、「証拠金不足になって、ロスカットになるかもしれない」、「ロスカットが間に合わなければ、追加資金を支払うケースもある」といった批判も聞かれるでしょう。
もちろん、FXをする上でロスカットのリスクはありますし、事前に相場の急変を予測することはできません。
しかし低いレバレッジよりも、高いレバレッジの方がロスカットのリスクを回避しやすいのです。
ロスカットと追証について
FXでは、一定の基準を超える含み損を抱えると、強制的に保有通貨が決済されてしまいます。
これを「ロスカット」と呼ぶのです。
FXトレーダーの中には、ロスカットを嫌う方がいます。確かに購入・売却した通貨を勝手に決済されるのは避けたいですよね。
しかしロスカットの目的は、顧客の資産を守ることなのです。
為替相場は急変するケースが多々あります。
レートが激しく動けば、大きな含み損を抱えるケースもあるでしょう。
そこでFX取引所は、相場の急変時に顧客の保有資産が無くならないようにするために、ロスカットという制度を設けたのです。
ロスカットで自動的に強制決済されれば、顧客の資産を守れます。
ただし、レートの大きな動きによって、強制決済が間に合わない場合もあるでしょう。
決済しきれずに顧客の口座残高がマイナスになってしまった時は、顧客自身がマイナス分を追加して支払わなければなりません。
これを「追証(おいしょう)」と呼びます。
ハイレバレッジトレードはロスカットのリスクを避けやすい
ハイレバレッジトレードに対する批判の中には、「ロスカットや追証のリスクがある」という声が聞かれます。
しかし少ない資金で大きな通貨量を取り扱う場合、ハイレバレッジトレードの方がリスクは少ないのです。
なぜならレバレッジが高ければ、証拠金維持率の低下を防げるため。
証拠金維持率とは、下記の計算式で求められます。
※資産評価額(預けている資産から含み損を引く) ÷ 必要証拠金 × 100 = 証拠金維持率
証拠金維持率が一定の数値を下回れば、ロスカットが執行されます。
なお、ロスカットの水準は、FX取引所により異なるので注意しましょう。
例えば下記の条件でトレードするとします。
- 1ドル=100円
- 1万通貨分のドルを購入する
- ロスカット水準が80%のFX取引所
- 口座資金は4万
もしレバレッジ25倍であれば、1万ドル(100万円分)購入するのに必要な証拠金は4万円。
それに対してレバレッジ1000倍であれば、必要な証拠金は1000円です。
なお、レバレッジ25倍における証拠金維持率は下記の通り。
※資産評価額4万円÷必要証拠金4万円×100=100%
一方でレバレッジ1000倍であれば、
※資産評価額4万円÷必要証拠金1000円×100=4000%
となります。
同じ資金で、同じ金額をトレードしているにもかかわらず、証拠金維持率には大きな差があると分かりますね。
次は、レートが変動して1ドル=100円から99円に値下がりしたケースを考えてみましょう。
レバレッジ25倍と1000倍とでは、証拠金維持率にどのような違いが出るのでしょうか。
はじめにレバレッジ25倍における証拠金維持率です。
※値動き-1円×1万通貨=含み損1万円
※資産評価額3万円(講座資金4万-含み損1万)÷必要証拠金4万円×100=75%
次にレバレッジ1000倍の場合。
※資産評価額3万円(講座資金4万-含み損1万)÷必要証拠金1000円×100=3000%
このようにレバレッジ25倍では、1円マイナスに動くだけで証拠金維持率が100%から75%になり、ロスカット水準の80%を下回ってしまいます。
それに対してレバレッジ1000倍であれば、証拠金維持率は3000%のままであり、ロスカット水準まで余裕があると分かるでしょう。
それでもリスクはゼロではない。大切なのは資金管理
海外取引所はレバレッジが高いので、ロスカットのリスクは低めであると解説しました。
もちろん、証拠金維持率に余裕があっても、リスクは無くなりません。
たとえハイレバレッジでトレードできても、通貨数を大きくし過ぎれば、ロスカットの恐れがあります。
そのため、トレード時は資金管理が重要になるのです。
資金管理とは、口座残高や証拠金維持率をこまめに確認すること。
具体的には、相場の様子を見て、必要に応じてトレード通貨数を減らします。
資金管理ができれば、証拠金維持率が下がり過ぎることもなく、ロスカットのリスクを未然に防げるでしょう。
海外FX取引所ならゼロカットシステムも
多くの海外の取引所では、「ゼロカットシステム」が導入されています。
ゼロカットとは、ロスカットしきれずに口座残高を下回っても、FX取引所がマイナス分を負担してくれるシステムのこと。
つまり、追証がありません。
したがって、海外FX取引所を利用していれば、口座残高を超える損失が発生しないのです。
もちろん、ロスカットにならないように資金管理をするのが一番でしょう。
しかし為替相場は、いつ大きく値動きするか分かりません。
万一に備えて、ゼロカットシステムのあるFX取引所の利用を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、FXの基本的な解説と、海外FX取引所におけるハイレバレッジトレードの是非についてお伝えしました。
ハイレバレッジでも証拠金維持率が高ければ、ロスカットのリスクは軽減できます。
今まで海外取引所を使用してこなかった方は、一度ご自分の手で触ってみると良いでしょう。
きっと国内FX取引所には無い魅力を発見できますよ。