知っておきたいこれからの資産運用~投資信託を柱にiDeCoやNISA制度を上手に活用~

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お金の悩み

新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われた2020年。

私たちの生活様式は大きく変わりました。

パンデミック宣言が行われた2020年3月には世界中の株価が経験したことの無いような勢いで下落していき、大きな不安を覚えた人も多かったでしょう。

ただし、「ピンチはチャンス」です。

今まで当たり前にできていたことができなくなり、今後の働き方や生き方、そしてお金について考える良い機会になっていると思います。

実際、「いざという時に備えてお金を貯めておけばよかった」と、お金に対する知識を身に付けようという気運が高まっているように感じます。

特に私たち日本人はお金に対して保守的で、あまり積極的に資産運用をしていないと言われているため、ぜひこの機に積極的な運用も含め、上手に資産運用ができるようになるといいですね。

【今回の記事でわかること】

  • 投資する?しない?
  • 基本の長期分散投資とは?
  • 長期分散投資に最適な投資信託
  • 時間を分散することもできる
  • iDeCoやNISAでも長期分散&ドルコスト平均法
  • ワンランク上のこれからの資産運用
この記事を書いた人
内山 貴博
内山FP総合事務所株式会社 代表取締役
ファイナンシャル・プランナー(CFP®、1級FP技能士)
MBA(九州大学大学院経済学府 経営修士課程修了)九州共立大学経済学部非常勤講師大学卒業後、証券会社の本社部門に勤務後、2006年に独立。
FP相談業務を中心に、セミナー、金融機関研修、FPや証券外務員の
資格対策講座などを担当。専門誌や情報サイトでの執筆も。
また、中小企業の経営者向けに経営と家計を融合したコンサルティング業務や、
日本での生活やお金のことに疑問を抱える外国人向けのFP相談業務(英語)を
開始するなど、FPとしてできることは何でも挑戦すべく、日々活動中。

投資する?しない?

ここで1つ質問です。以下のような2択の場合、皆さんは投資をしますか?

50%の確率で2万円利益が生じるが、50%の確率で1万円損失が生じる。

これは金融中央広報委員会が行った「金融リテラシー調査(2019年)」にあった設問です。

なんと、回答者の77.3%は「投資しない」と回答しています。

見ただけで分かりますが、確率は50%:50%ですが、利益の金額の方が2倍になっています。

投資をした方が良い気がしますが、やはり「損をする」ということに抵抗を感じる人が多いため、このような結果となりました。

皆さんはどちらを選びましたか?

この場合、収益2万円が生じる確率が50%であり、損失1万円が生じる確率も50%であるため、計算式で考えると以下のようになります。

プラス2万円×50%+マイナス1万円×50%=プラス5,000円

5,000円のプラスが見込める投資ということになります。

この場合の5,000円のことを期待収益、または「リターン」と呼びます。

「ハイリスク・ハイリターン」といった表現で今まで耳目に触れる機会が多かったと思いますが、リターンはこのようなシンプルな計算式で算出することができます。

よって、今回は「リターンがプラス5,000円」の投資であるため、「投資すべき」という判断をするのが賢明です。

でも、これだけではやや説得力に欠けるので、もう1つ踏み込んでみたいと思います。

もし、毎日1回、上の条件で投資機会があったとします。そしてそれが1年、2年と続いた場合、どうでしょう。

「損するのがいやだ」と毎日投資を拒否することもできますが、その場合、1年後も2年後も一切利益を得ることができません。

もちろん、損失もありません。

一方、「期待収益がプラスだから冷静に投資しよう」と判断した人は毎日1回取引を行うため、損をする日もあるでしょう。

ただし、長く続ければ続けるほど、利益が生じる日と損失が生じる日はおよそ50%ずつとなるでしょう。

これはサイコロを転がした時と同じです。

数回であれば同じ目が連続して出ることもありそうですが、何百回とサイコロを転がすと、それぞれの目がでる確率は、およそ6分の1となります。

よって、長く繰り返すほど1日当たり平均的にプラス5,000円が期待できる投資を行っていたことになり、長期的には資産を大きく増やすことができるのです。

「10,000円損する日」が当然ありますが、これを資産運用を行う上での「リスク」といいます。

リターンにリスクはつきもので、リスクを取らなければリターンを得られないということも、今回の事例で学ぶことができたのではないでしょうか?

基本の長期分散投資とは?

初心者のみならず資産運用の原則として「長期分散投資」があげられます。

長期と分散、2つに分けてそれぞれ解説をします。

長期投資については既に上で説明済みです。

1回や2回では「運が悪く、続けて損をしてしまった」ということもありえますが、長期であれば、ある程度見込んだ収益が期待できます。

投資の代表例、株式を取り上げても、長期的にその水準は高くなっています。

経済が少しずつ成長していく過程で株価も上昇しているのです。

また長期投資の方が複利効果も期待できます。

これは利息(配当)を次の投資に回すことで、さらに次の利息(配当)を生み出すことになることです。

1年や2年より長く続ける方が、この複利効果も期待できます。

ただし、長期的に投資と向き合った場合、衰退する産業や倒産する会社もあります。

よって、「この銘柄(会社)に将来を託す」という投資スタイルはリスクが大きすぎます。

いくつかの銘柄、いくつかの業種や国に分けて投資を行うべきです。

これを分散投資といいます。

長期分散投資に最適な投資信託

投資信託は運用会社にお金を「信じて託します」。

プロである運用会社が様々な銘柄を組み入れ、1つのファンドを組成するため、投資信託を購入すると言うことは必然的にある程度分散効果を得られることになります。

日本株に投資をするもの、世界株に投資をするもの、さらには国内外の株や債券、不動産などに満遍なく投資をするバランスファンドと呼ばれるものなど多種多様です。

投資信託を複数本持つことで一段と分散効果が働きます。

それらを目的に合わせて、また相場展開に一喜一憂することなく長期で保有することが上手な資産運用につながっていきます。

時間を分散することもできる

では、その投資信託をいつ買うのが良いでしょうか?

パンデミック宣言の頃は「コロナショック」といわれ、主要な株価指数は軒並み大幅下落となっていました。

ただし、その後は各国の財政出動や金融緩和、そしてワクチンによる経済活動の再開など様々な期待・思惑から大幅に株価は回復し、日経平均も1年足らずでコロナ前の水準まで戻り、さらには30年ぶりに30,000円台を付けるまで上昇を遂げました。

よって、コロナショックで急落している最中に投資できた人は短期間で大きな収益をあげることができたでしょう。

ただし、これは結果論で、急落中に投資をすることは非常に難しいことです。

恐怖を感じるようなニュースばかりに触れながらリスクを取ることになりますし、明日以降、さらに急落するかもしれません。

特に初心者の方はこういったタイミングでの投資には慎重を期してもらいたいところです。

ただし、リスクを抑えながらこういった下落局面にも上手に投資をする方法があります。

それが「ドルコスト平均法」です。

ドルコスト平均法は、株式や投資信託など価格が変動するものに、毎月一定額投資をすることで平均買付単価が低くなりやすいという投資手法のことを言います。

例えば、毎月25日にA社株を1万円分購入するとします。

株価が5,000円の時は10,000円÷5,000=2株購入することになります。

翌月、株価が大きく下がり2,000円となった場合は5株も購入できます。

このように「高い時に少ししか買わず、安い時にたくさん買う」という効果が自動的に機能するのです。

タイミングを計りながら投資をするのも投資の醍醐味ですが、機械的にコツコツ積立てを行うことでゆっくり成果を得ていく方法も大変魅力的です。

もちろん、株式のみならず、投資信託や外貨などでもドルコスト平均法は機能します。

現在は証券会社や銀行が毎日少額で投資できるサービスも提供しています。

1日500円程度で投資信託や外貨を買うことができるのです。当然、毎月1回買うよりも毎日少しずつ買うことでドルコスト平均法の恩恵を受けやすくなります。

少額で気軽に、そして長く。

金融機関によって積立方法も様々です。

どのような積立方法があるか、一度検討してみるのも良いと思います。

iDeCoやNISAでも長期分散&ドルコスト平均法

現在の資産運用を語る上で外せないキーワードがiDeCo(イデコ)とNISAです。

どちらも大きな税務メリットもありますので、上手に付き合ってもらいたいところです。

iDeCoとは個人型の確定拠出年金制度です。

会社員や自営業など年金の加入状況によって月々の掛金額の上限に違いがありますが、国民年金・厚生年金に加入している全ての人が基本的に行うことができます。

銀行や証券会社を通してiDeCoを開始できます。

iDeCoは60歳まで引き出すことができない点が最大の注意点ですが、一定の拠出額を、月または年ベースで積立を行っていきます。

一定の投資商品や預金、保険商品の中から運用商品を選ぶことができるため、投資信託を選んでいる場合は、先に紹介したドルコスト平均法も働きます。

また掛金は全額所得控除となるため、所得税・住民税の負担を大きく軽減してくれます。

途中でAファンドをBファンドに切り替える(スイッチング)ことも可能です。

その際にAファンドで利益が生じても課税されることはありません。

また受取時も一括で受取る場合は退職所得となり、退職所得控除が適用されます。

退職所得控除は勤続年数(iDeCo加入期間)に応じて控除額が決まり、例えば30年の場合、1,500万円もの控除が適用されます。

よって、拠出時、運用時、そして受取時。

いずれも税務メリットを受けながら資産運用を行うことができる制度です。

人生100年時代と言われる中で老後資金の準備は今後ますます重要になってきます。

60歳まで引き出すことができないという注意点がありますが、言い換えれば60歳まで強制的に先送りできるため、確実に老後資金を準備することにつながります。

運用商品として元本確保型の商品を選ぶこともできますが、現状ではほとんど利息等が期待できない状況です。

iDeCoは国民年金基金連合会に支払う手数料はじめ一定のコストが生じる点も踏まえ、節税効果のみならず長期的に収益を得ることができると望ましいです。

よって、元本確保型の商品よりも投資信託などを中心に積み立てることをおすすめします。

NISAは一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISA(2023年末で廃止)の3種類があり、いずれも年間一定の金額までの投資であれば配当や売却益に対して課税しないという税務メリットのある制度です。

例えばつみたてNISAの場合、年間40万円まで最大20年間非課税で運用できます。

また、つみたてNISAは金融庁が定めたコスト面等で優れた一定の投資信託のみが対象となっているため、初心者にとっても分かりやすく、取り組みやすいと言えます。

iDeCoと違い、投資額が所得控除にはなりませんが、途中でいつでも売却し出金できるという自由度があります。

よって、老後資金はiDeCo、将来の住宅資金や教育資金の一部としてNISAを活用するといった使途を明確にした上で行うことが賢明な資産運用となりそうです。

iDeCoもNISAも投資をする上での枠組みであり、その枠の中で今回おすすめしています投資信託を購入することができます。

ワンランク上のこれからの資産運用

初心者の方のみならず、多くの人に投資信託を活用した資産運用、将来の資金作りを行ってもらいたいところですが、金融を取り巻く環境は日々変化しています。

定期的に購入している投資信託の見直しはもちろん、他にもっと良い資産運用はないのか?と探求することも大切です。

「億り人」という表現が使われ一時大きな話題となったのが仮想通貨です。

ビットコインがその代表ですが、あっという間に価格が上昇し、1億円を超える資産を作った人が続出したため、そのように言われました。

一時期のブームが去り、価格も大きく下落しましたが、その仮想通貨は今どうなっているでしょうか?

現在は暗号資産とも言われますが、実は2020年の1年間でビットコインやアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)は数倍にも価格が上昇しているのです。

様々な見方がありますが、その1つとしてはコロナショックで主要国が財政出動や金融緩和でどんどん市中にお金を投じているため、ドルやユーロ、円といったお金自体の価値が低下していくのでは?

そして、将来は暗号資産がお金の代わりとして役割を担うのでは?

そういった見方が価格上昇につながっているとも言われています。

私たちは暗号資産も口座を開設し、すぐに取引をはじめることができます。

日々の値動きは株などよりも大きい印象があり、また将来的にどのような役割を果たすか未知数のところもありますが、資産の一部、少額を使って投資をしておくことが、将来大きなリターンにつながる可能性もあります。

暗号資産に限らず、今後も様々な資産運用方法が台頭してくると思われます。

5年後、10年後、どのような世の中になっているのか?

社会、経済、国際情勢、様々な情報に触れ、視野を広げながら、資産運用の原則を意識しつつ、楽しみながら向き合うのも上手な資産運用のコツです。

ぜひできるところから始めてみてください。