家を買うと決めたら読みたい住宅ローンの知識!年収と住宅ローンの関係性【FPが解説】

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お金の悩み

住宅購入は、一生涯のうちに一度あるかないかの大きな買い物です。

マイホームへの憧れはあるものの、自分の年収でローンが組めるのか…そのような心配をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

本記事では、住宅ローンの簡単な仕組みと、年収に応じた住宅ローンの借り入れ目安などについてわかりやすく解説していきます。

【今回の記事でわかること】

  • 住宅ローンとは?
  • 賃貸と購入、どっちがいい?
  • 年収からみる借り入れ目安
  • 住宅ローンが組めなかった場合
この記事を書いた人
大野 翠
長崎県長崎市出身。2011年、国内大手生命保険会社にて法人職域営業職として従事。主に個人向け、法人向け生命保険、損害保険、資産運用商品を取り扱う。日々の業務の中で、保険や金融商品だけでなく、年金や税金、相続や不動産など、もっと金融の知識を広く伝えたいという思いから独立。2016年「芙蓉宅建FPオフィス」開業。
現在は完全中立・公平な立場で一般消費者の金融リテラシー向上のサポートをすべく、生損保及び金融商品の販売、あっせんは一切行わず「保険を売らないFP」として活動している。
また、宅地建物取引士でもあることから、FPとしての実務経験と共に、不動産と相続に関してもプロの目線でアドバイスしている。
主な業務内容は【個人向け・法人向けマネーコンサルティング】【マネーセミナー企画・運営】【資格取得講師(FP技能士・宅建士)】【マネーコラム執筆・記事監修】

住宅ローンとは?

住宅ローンとは、住宅購入資金(諸経費なども含む)を借り入れることです。

住宅ローンの返済期間は、通常30年前後であることが多く、一般的な定年年齢を考えて逆算すると、20代~40代前半までに購入する世帯が多いようです。

住宅ローンの種類

住宅ローンには、大きく分けて2種類があります。

それぞれの銀行が特色のあるサービスを付帯して実施している「銀行住宅ローン」と、住宅金融支援機構と銀行が提携して提供する「フラット35」です。

銀行住宅ローン

銀行の住宅ローンは、金利や手数料が金融機関によって違います。

銀行ローンの金利は、変動金利と固定金利から選ぶことができます。

さらにその中で、住宅ローン金利の優遇をうけられる場合があります。

会社員の場合で、給与振込先として利用している場合や、固定費の引き落としに利用しているなど、普段から取引のある銀行で金利優遇を受けられる場合があります。

従って、住宅ローン契約を検討する際は、まず普段からよく利用している銀行から仮審査を行ってみることをお勧めします。

また、近年インターネット銀行の住宅ローンも軒並み低金利で人気です。

たとえば、その銀行のクレジットカードを発行することを条件としているなど、前提条件に該当すれば更に優遇金利を受けられるということもあります。

まずは各サイトのシミュレーションを利用してから検討することをお勧めします。

住宅金融支援機構・フラット35

フラット35は、全期間金利固定型の住宅ローンです。

銀行ローンでは選択することができる「変動金利」を選ぶことはできません。

固定金利で住宅ローンを組む大きなメリットは、借入金額と返済額が期間を通してハッキリしていることです。

一方、変動金利での借り入れの場合は、一定期間で金利が変動しますので、最終的な総返済額がいくらになるかわからないという点は大きな違いです。

また、フラット35では、銀行の住宅ローンでは必要となる「繰り上げ返済手数料」が不要です。

積極的に繰り上げ返済をして、将来の返済の負担を軽減することも可能です。

団体信用生命保険とは

住宅ローンとセットで考えなければいけないのが、団体信用生命保険です。いわゆる「団信」と呼ばれるものです。

団信は、住宅ローン契約時にセットで契約する保険のことです。

銀行の住宅ローンでは、ほとんどが強制加入の仕組みです。

団信に加入せずに住宅ローンだけを組む方法は、現在は銀行ではできないところがほとんどでしょう。

団信は保険ですので、健康状態の告知が必要です。

つまり、健康状態に問題があり引き受け不可になった場合は、希望する住宅ローン契約ができない場合もあります。

そのくらい重要となる団信ですが、その制度は「ローン契約者が死亡または高度障害状態になった場合、残りの期間の返済額はゼロになる」というものです。

簡単に言うと、団信の保険料で、残りの住宅ローン返済額を相殺するということです。

したがって、団信とは大きな死亡保障と考えると良いでしょう。

このことから、住宅ローン契約を結んだ住宅購入後は、生命保険の見直しポイントであると言えます。

団信加入で、すでに遺族に対する住宅資金の備えとして安心だからです。

また、近年は、死亡または高度障害時で適用される団信だけでなく、「がん団信」「三大疾病団信」「介護団信」など、団信の内容は多岐に渡っています。

その場合、保険料の上乗せということではなく、金利上乗せという形になるので、月々の返済額が若干上がります。

しかし、安心して住宅ローンを計画的に返済していくことを考えれば、このような新しい仕組みの団信も検討する価値はあると言えます。

フラット35なら団信強制加入なし

銀行の住宅ローンでは、団信は強制加入だと説明しました。

一方、フラット35では、団信に必ず加入しなければならないという決まりはありません。

加入は任意です。

たとえば銀行ローンを契約するために審査をした場合、団信の医的診査に引っかかりローン契約ができなかった場合、団信なしでフラット35の審査をしてみることをお勧めします。

賃貸と購入、どっちがいい?

家を買おう!と思い立った場合、現在の住まいが賃貸であることが多いと思います。

現在の賃貸暮らしを継続する方が良いのか、思い切って購入した方が良いのか、双方のメリット・デメリットの観点からまとめてみます。

賃貸のメリット・デメリット

賃貸のメリットは、月々の家賃以外の出費がほとんどないという事です。

そこに住み続ける限り、住居費(家賃)が固定しているので、マネープランニングがしやすいということです。

家賃以外でかかる費用として考えられるのは、再契約をする場合の更新費用や、借家人賠償保険など損害保険の保険料です。

デメリットとしては、あくまでも借りて住んでいるだけなので、家賃を払い続けても自己所有にはならないという点です。

これは、家賃の金額次第ではありますが、たとえば自身にとって高額と感じている家賃を払って賃貸に住んでいる場合は、住宅を購入した方が月の住居費が抑えられる場合もあります。

購入のメリット・デメリット

住宅を購入するメリットは、将来的に自身の大きな財産になるということです。

計画的な住宅ローンを組み、着実に返済していくことで、確実に自身の財産にすることができます。

また、住宅ローン契約を持っていてきちんと返済をしているという事は、他のローンを組む場合に審査ポイントとして高評価となる場合があります。

それだけ大きな金額のローンを、計画的にきちんと返済しているという事実は、社会的にも評価されるということです。

デメリットとしては、ローンを完済し自身名義の物件になった場合、手放したり賃貸として貸し出す場合に、必ずしも希望通りの金額で売買(または賃貸)できるわけではない、という事です。

思ったような値段で動かすことができない理由としては、住居のある地域の土地の値段(地価)の変動リスクや、経年劣化によることなどが考えられます。

また、相続の問題も時としてデメリットとなる場合もあります。

例えば、子どもが居ない夫婦の場合などは、住宅購入後の相続のことまで考えておくと、万が一の際の安心に繋がります。

年収からみる借り入れ目安

さて、ここまで住宅ローンを組む前の知識として、住宅ローンの仕組みや団信についてポイントを解説してきました。

住宅購入への決意が固まったら、次は「実践編」です。

自身の年収では、どれくらいの金額が借り入れ可能なのか?負担にならない返済額はどれくらいなのか?

具体的な目安も提示しながらわかりやすく解説していきます。

年収から借り入れ可能額を知ろう

住宅購入を検討する場合、心配になるポイントとしてよくあるのが「自分の年収で住宅ローンが組めるのか?」ということです。

正確に言うと「借入可能額」と「無理なく返済ができる借入金額」は必ずしも同じではありません。

無理なく返済できるかどうかは、同じ年収の人でも、家族の有無やマイカー保有の有無、住宅ローン以外の借り入れに対する返済額などで大きく変わります。

従って、このような自身の前提条件を入力した、ネット上の無料シミュレーションを行うのが最も確実な方法であると言えます。

年収別・概算シミュレーション

住宅金融支援機構ホームページ内には、さまざまな条件で試すことができるシミュレーションが用意されています。

このうち「現在の年収から借入額を試算する」シミュレーションを使って、おおまなか目安となる金額を以下にまとめます。

参考になさってください。

前提条件として、フラット35利用、金利は1.5%、返済期間35年、元利均等払いを利用、他の借り入れ無しとします。

  • 年収300万円の場合…2,449万円
  • 年収400万円の場合…3,810万円
  • 年収500万円の場合…4,762万円

年収に対する返済比率は重要

上記でおすすめした住宅ローンシミュレーションでは、長期間返済し続ける住宅ローンが、家計のうち他の費用に影響しないような割合で返済し続けることを前提にしています。

これを返済比率といいます。

住宅ローンの返済比率は、年収のうち30~35%以内の割合であれば負担なく返済できるとされています。

自身の家計の内、どの程度なら長期間安定して返済することができるのか、重要な目安になる数値です。

住宅購入に際し、返済比率は必ず意識するようにしましょう。

住宅ローンが組めなかった場合

事前にシミュレーションを重ね、これで購入できる見込みが立った!ということで、いざ申し込みをした結果、なにかの理由で契約ができない場合もあります。

事前のシミュレーションであらかじめ対策を取ることはできますが、それでも金融機関の審査をしてみない限りは「絶対」とは言えないのが現実です。

では、万が一住宅ローンが組めなかった場合どうしたらよいのか、具体的な解決方法をいくつか挙げていきます。

収入面が原因の場合

収入面など、お金に関することが原因でローンが通らなかった場合、希望している借入金額を減額することで改めて審査に通過することもあります。

年収に対する返済比率などの計算上、借りたい金額と返済できる金額に相違があることが大きな原因となっていると考えられるからです。

または、住宅ローン契約にあたって、少しでも借入総額を減らすために頭金を多く入れるという方法も効果があります。

共働き夫婦はペアローンという選択肢も

世帯主だけでなく、配偶者も働いて収入を得ている場合、二人の収入を合算して住宅ローン契約を結ぶことができます。

これをペアローンといいます。

夫婦のうち、住宅ローン名義となる人の収入面だけでは審査が通らなかった場合、このペアローンを組むことでローン契約ができる場合もあります。

ペアローンとは、例えば3000万円の住宅購入資金に対して、夫が2000万円、妻が1000万円の、それぞれ別の契約者で、別の住宅ローンを組むイメージです。

従って、夫と妻のどちらにも「住宅ローン控除」が発生します。

同時に、それぞれの住宅ローンについて団体信用生命保険に加入することになりますので、どちらかが健康面に不安がある場合は利用できないことも考えられます。

ペアローンで購入した家と土地は、いずれも夫婦共有財産になります。

あまり考えたくありませんが、万が一夫婦が離婚する場合などは、手続きが煩雑になるという点はリスクとなります。

健康面が原因の場合

これは、主に銀行の住宅ローンの場合に該当します。

団体信用生命保険への加入が、住宅ローン契約の前提条件である場合、健康面の理由から団信に加入できないとなると住宅ローン自体も契約できません。

その場合は、金利は若干上乗せになりますが、引受緩和型のワイド団信への加入を検討するか、住宅金融支援機構のフラット35へローン商品を変更することで対応できます。

ワイド団信の金利上乗せに関しては、各金融機関で違いがありますので、これもまたシミュレーションを活用し比較検討しましょう。

個人信用情報が原因の場合

住宅ローン契約にあたって、これまでの返済履歴や支払い能力も当然審査されます。

いくら年収に対する返済比率が適正で、健康であるため団信加入も問題がない場合でも、信用情報が原因となると対策がほとんどありません。

いわゆる「ブラックリストに載る」と言われる時期は5年がひとつの目安です。

過去に滞納や未納があった場合、それから5年以内は信用情報にキズがついている状態ですので、住宅ローン契約だけでなく、その他のローンやクレジットカードの審査通過も厳しい状況であると推測されます。

この場合の対策としては、住宅ローン以外の返済状況を整えるということがまず挙げられます。

きちんと滞りなく返済をしている履歴も残りますので、まずは今ある負債を計画的に返済することを重視しましょう。

住宅ローン・まとめ

いかがでしたか。

住宅購入は大きい買い物です。

無料で利用できるシミュレーションを存分に活用し、実際に住宅ローン契約を結ぶ前にたくさん試算してみましょう。

たとえば、年収から借入額を割り出したり、月々の返済額から借入総額を計算したり、自分にとって「どの程度なら負担なく返済可能か」をしっかり検討しましょう。