終活でやることリストを専門家が解説!自分と家族が前向きに生きていくために

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お金の悩み

現在、日本社会は高齢化しつつあり、また人々の価値観も多様化してきました。

そのため、以前ならタブー視された「死」を考え、自分や家族の人生の最後について早くから考え、行動する「終活」が注目されています。

そこで、「終活を始めようと思うけど、具体的にやることがわからない」「気持ちの整理がつかない」という人のために、終活の心構えから具体的な内容まで、終活でやるべきことをリスト化してご紹介します。

【今回の記事でわかること】

  • 終活とは何か
  • 終活の取り組み方
  • 終活でやるべきことは何か
  • 終活は、自分と家族が前向きに生きていくためにすべきこと
この記事を書いた人
小松 康之
専門・得意分野:資産運用・タックスプランニング・相続・遺言・終活所有資格:AFP・2級FP技能士
国税庁の関係団体で、確定申告の指導や会計ソフトの開発などを行う。一方で、個人的にさまざまな投資を20年以上行っている。独立後は、資産運用や相続・遺言・終活などを中心に、相談業務やセミナー、執筆活動など幅広く業務を行っている。

終活とは何か

「終活」とは、「自らの人生の終わりに向けた活動」の略語で、身の回りの生前整理、交友関係の整理、資産整理、健康に関する意思表示、自分が亡くなった際の葬儀、お墓等の準備、などを行うことを指します。

これまでは、死について話すことは縁起でもないとされていました。

しかし、2010年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされたことをきっかけに、「終活」という言葉が世間一般に広く知られ、人々の関心が高まるようになりました。

現在では、死後に向けた事前準備だけでなく、「人生の終焉について考えることによって、今をより良く生きるための活動」というポジティブな意味に広がってきています。

終活を始める時期に早すぎるということはありません。

老後をどう過ごすか、死後の葬祭等にどのくらいかかるかなど、今後のお金のことを把握できます。

また、身の回りの整理や、万が一の際に延命治療や臓器提供などをどのようにして欲しいか自身の意思を明確にしておくことなどは、年齢を問わず役立ちます。

いつか必ず訪れる自らの死と向き合い、自分らしく、どのような最後を迎えたいかを考えましょう。

そして、未来を見つめた人生設計を行い、今をより良く生きていきましょう。

終活の取り組み方

終活が普及したのは、2つのポイントがあります。

1つは、「死の個人化」です。

核家族化、単身世帯の増加や、近隣住民や親戚付き合いの希薄化などによって、死は「家のもの」でなく、「個人のもの」に移りつつあります。

その結果、「家族に迷惑をかけないよう、自ら死後について考えて準備をしておく」という考え方が広く浸透し始めています。

もう1つは、「老後生活への不安」です。

日本人の平均寿命が年々延びており、老後をいかに健やかに暮らすかを考えることが不可欠となってきました。

どのように死を迎えるかを考えることによって老後の不安を解消し、限られた時間を前向きに生きるポジティブな思考は、今や必須のものであるといえるでしょう。

老後の不安を抱える単身者や、親や配偶者の介護を経験された方、未婚のお子様がいらっしゃる方などが、せめて自分が亡くなる時には、遺される子供や家族に手間や金銭的な負担をかけず、迷惑にならないように準備をしておきたいと考えるようになるのは自然な流れと言えます。

家族や周囲の人々のことを想い、気遣う心が「終活」の始まりと言えます。

しかし、自らの死と真剣に向き合うあまり「頼る人がいない一人暮らしで、万が一のときに誰にも見つけてもらえないのではないか」「お墓を買っても、誰もお参りに来てくれないのではないか」と悲観してしまったり、「後に遺る家族の負担を減らすために、完璧に準備しておこう」という気負いから、終活することが苦痛になってしまっては本末転倒です。

焦らずゆっくりと、人生をより楽しむためのライフプランを考える気持ちで取り組むことをおすすめします。

そしてそれが、悔いのない余生を謳歌することへと繋がっていきます。

終活でやるべきことは何か

終活をするうえで、多くの方が行っていることは、大まかに言って次の5つが挙げられます。

  1. 【生前整理】
    元気なうちに資産や身の回りの物を整理して、不要なものは自ら処分して身軽になる。
  2. 【交友管理】
    万一の際に備えて、友人、知人など人間関係を再整理し、対応方法や連絡先を明らかにしておく。
  3. 【資産整理】
    遺産や遺品の配分を決めて、意思書面で残す。
  4. 【健康管理】
    健康を害した際の介護や治療方針、延命治療について自らの意思を明確にしておく。必要な場合は意思を書面にして残し、施設の予約も行う。
  5. 【葬祭準備】
    葬儀やお墓についての意思を明確にし、必要な場合は場所や費用も用意しておく。

これらのことを書面で残すために、エンディングノートを書く人が増えております。

エンディングノートを書くことは、これまでの人生を振り返って今後すべきことが見えてくる、という効果が得られます。

さらに、これからすべきこともはっきりしてきます。

また、遺産分割・相続対策のために、遺言書を残すことも必要です。

遺言書は法的効力を持つものですから、専門家の助言を受けながら作成することが必要になります。

<エンディングノートを書くこととは>

前述しましたエンディングノートですが、これは自分の終末期や死後に備えて、遺される身近な人に伝えておきたい希望や情報などを書き留めておくノートです。

家族や友人などに対するメッセージから、延命措置に対する考え方、資産のこと、相続のことまで何を書いても構いません。

ただし、これは遺言書と違って法的効力はありません。

あくまでも家族があなたの死後に様々な手続きを進めやすいよう、「参考にしてもらうためのもの」という気持ちで書くようにしましょう。

これを書くことで、これまでの人生を振り返って今後すべきことが見えてくるようになります。

また、エンディングノートは、さまざまな種類のものが市販されておりますので、ご自身に合ったものを購入して書くのがいいでしょう。

ここでは、今までの自分の生きざまの整理・死んだことを伝えてほしい友人や知人のリストアップと連絡先の作成・今ある財産を一覧表にしてまとめておくこと・自分が認知症になった時や意識がなくなった時にどうしてほしいかを表明すること・死後葬儀やお墓をどうしてほしいかを表明すること、が主にすべきことになります。

他に、今や生活になくてはならないパソコンやスマートフォン、インターネット絡みではSNSやショッピングサイトなどのIDとパスワードなど、自分しか知らない情報を書き残す必要があります。

いずれも、遺族に迷惑をかけないために必要なことです。

そして、いきなりすべてを書き上げようなどと思わないでください。

書きやすいところから、また、これは意思表示しなくてはいけないと感じたところから、書いていくことでいいです。

さらにいえば、何度でも書き直ししてかまわないものですから、今の気持ちに正直に、そして気負わずに書きましょう。

<遺言書を書くこととは>

遺言書は、誰が、どの財産を、どの程度の割合で相続するのかを指定するものです。

相続させる内容を指定できるほかにも、「相続させない」と指定することも認められています。

遺言書には3種類あります。

それは、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言の3つです。

このうち、もっとも手軽に作成できるのが①の自筆証書遺言です。

保管についても、以前は自己責任でしたが、2020年7月より自筆証書遺言を法務局で預かるという自筆証書遺言書保管制度が開始されました(有償です。詳細は、法務局のホームページをご参照ください)。

自筆証書遺言を書く場合、以下の点に注意する必要があります。

  • 遺言者の遺言能力が必要(15歳以上)
  • 遺言者の直筆で作成しなければならない(代筆・PC入力は不可)
  • 家庭裁判所の検認が必要
  • 録音や映像での遺言は認められない
  • 作成日の明記が必要
  • 署名・押印が必須
  • 夫婦などの共同名義の遺言は認められない

公正証書遺言は、公証人と呼ばれる人が、遺言者が伝えた内容を書面にする遺言書です。

自筆証書遺言に比べ、手間と費用がかかりますが、遺言書に不備が出るリスクを抑え、より確実に遺言を残せるというメリットがあります。

秘密証書遺言は自筆証書遺言と公正証書遺言を折衷したような方法です。

なお、この方式の遺言はほとんど使われないので、詳しい説明は割愛させていただきます。

遺言書は遺産配分のための大切な書類であり、かつ法的効力を有するものです。

これがないために、死後遺族がいがみ合い、裁判沙汰になり、バラバラになるケースが非常に増えております。

遺族同士の喧嘩などを防ぐためにも、遺言書はしっかり書いて保管しておきましょう。

最初は、気軽に書ける自筆証書遺言を書くことから始めてみましょう。

<生前整理でやるべきことは何か>

あなたは、自分はモノをたくさん持っていると思いますか?思いませんか?

亡くなった後の遺品整理、遺族に大変な負担を書けてしまうことはご存じですか?

遺品整理を業者に頼むと、荷物の量によってかかる費用が変わってきます。

1Rだと3万円くらいからですが、部屋が広がり、それによって荷物が増えれば、場合によっては100万円を超えることもあります。

こういった費用を遺族に負担させたいですか?

させたくないと思うなら、今から荷物を減らす必要があります。

生活に必要なもの・仕事に必要なものなどをリストアップし、それは使うものとして分けておき、それ以外のもので大切なものや思い出として残したいものを保管し、あとは廃棄するようにします。

特に写真やビデオに当てはまることですが、思い出があるために捨てられない、ということがあります。

そういうものを捨てるためには時間がかかります。

ですから、元気なうちに始めることが必要なのです。

よく、「あれは今後使うかもしれない」と言って、物を減らせない人をみかけます。

それは、物に執着しているからです。

しかし、自分が生涯で使うものの数は限られています。

ですから、必要なもの、使っているもの以外は手放す必要があります。

手放すことで、心が物から自由になり、より生き生きと自分らしく過ごせるようになります。

<老後のお金の考え方>

あなたは、老後資金をどう準備しようとしていますか?

老後はお金がかからないと思っていませんか?

老後は、医療や介護などで、意外とお金がかかります。

老人ホームに入居しようとすれば、一時金などで数千万円ものお金が必要になります。

さらに、2019年に政府が発表した2千万円問題が世間を騒がせました。

老後資金は、年金だけでは不足してしまうのです。

では、どうしたらいいか。

早いうちにライフプランを作成し、いついくらくらい必要になるかを大まかに知る必要があります。

対策を打つにしても、知らなければできないのですから。

次に、できるだけ早く投資を始めることです。

投資と言うと、損するのではないかと考える人が多いですが、長期間にわたり定期的に積み立てるようにすれば、大きな資金を作ることができます。

そして、健康を維持する点からも、健康なうちは働くようにしましょう。

働けば、相応の給与をもらえます。

その分、ご自分の資産は長持ちします。

ライフプランと見比べて考えると、現役世代のように働く必要はないかもしれません。

あとは、収入の範囲内で生活することです。

つまり、支出を見直し、無駄遣いをやめることです。

無駄遣いには、払い過ぎの保険料なども含まれます。

収入の範囲内で生活し、健康寿命を意識した生活スタイルにすることで、資産寿命も延びます。

それが、老後の資金対策になります。

資金に余裕があれば、相続対策をするといいでしょう。

遺産配分や相続税納税は、遺された人にとって、最大の不安だからです。

終活は、自分と家族が前向きに生きていくためにすべきこと

今まで述べてきたように、終活ですべきことは多々あります。

ここで考えるべきことは、残される家族や親族に迷惑をかけないことと、自分の想いや意思を明確にしておくことにあります。

だからこそ、エンディングノートや遺言書を書いて、家族などにわかるところに保管することが大切になるのです。

このように意思表示をしておけば、家族が困ることも少なくなり、遺される人々の悲しみや不安を和らげ、手間を省くことにつながります。

そして、残された時間を有意義に過ごそうという気持ちが高まり、より充実した老後を送ることができます。

終活を始めるのに、早いということはありません。

思い立ったら、すぐにでもはじめましょう。

そして、前向きな老後を過ごしていきましょう。