クレジットカードには大きく分ければ2種類ございます。
1つは個人カード、もう1つは法人用カードです。
個人事業者のほとんどは個人カードに該当します。
それに対して法人カードは個人事業主・経営者が持つことができるカードであり、事業を行っているのであれば持つことが可能です。
法人カードはどういうものなのか、法人カードを持つことでどのようなメリットがあるのかなどを説明していきます。
【今回の記事でわかること】
- 法人クレジットカードの概要
- 企業経営においての法人クレカの役割
- 法人カードの選び方と法人カードを申し込む方法
- 法人クレカを作る順序とお勧めのカード
- FPがお薦めする法人カードベスト3を選出
國弘泰治
2級ファイナンシャルプランニング技能士,AFP,MBA(経営学修士),スカラシップアドバイザー(日本学生支援機構)大学院修了後、大手流通企業に就職するも3か月で退職をし、実家の山口県の酒造会社で店長として勤め、その後福岡県の投資用不動産企業へ転職。
退社後はフリーターをしながらFPの資格を取得し2017年10月にFPオフィスALIVEを開業。
2021年3月からFPオフィスALIVEからMBA・FPオフィスALIVEへと事務所名を変更し現在に至る。
得意分野は不動産投資と海外投資、相続・事業承継など
法人クレジットカードの概要
法人クレジットカードは、名前だけが法人クレジットカードであり、実際の名義は法人に属する個人が名義です。
特徴としては、「会社名義の口座」を指定することが可能なカードで、ほとんどが100万円以上の取引が可能です。
ただし個人のクレジットカードと違い、リボ払いはなく、一括で購入するのが原則です。
法人カードの種類
法人カードには2種類ございます。1つめがコーポレートカード、2つ目はビジネスカードです。
ビジネスカードは20名以下の中小企業や個人事業主向け、コーポレートカードは20名以上向けの比較的大きな企業向けと言えます。
会社規模によって違うことだけですので、大きな違いはございません。
個人カードとの違い
個人カードちの違いは、以下のポイントが挙げられます。
・会社決済型が選択可能
個人カードの場合、個人の口座から決済する仕組みであるため、個人口座しか決済できない仕組みとなっております。
それに対して、法人カードは「会社決済型」と「個人決済型」の2種類が必要です。
「会社決済型」は法人口座を引き落としで、個人決済は「個人名義の口座」に引き落としする仕組みとなっています。
「個人名義の口座」に関しては、基本的に、組織がない個人事業主が利用する形態です。
・個人と同様に家族カードもある
個人カードと同様に法人カードも家族カードを設定することは可能です。
違う点としましては、法人であれば経営者でなく社員にもカード発行が可能でございます。
次に企業経営面でのメリットについて語ってまいります。
企業経営においての法人クレカの役割
企業の経営資源は、ヒト・モノ・カネ・情報です。
その中でも、「ヒトを雇う」・「モノを作る」・「情報を管理する」を実行するには「カネ」が一番の要です。
経営資源を活かすためには、お金の流れが重要です。そのため法人クレカは経費の内容などのお金の流れについてもスピーディーで分かりやすいと言えます。
これからは企業経営において法人クレカの役割について説明いたします。
法人クレカを持つことでの企業経営の効率化
法人クレカを持つことで、企業経営が円滑に進む理由として以下のことが挙げられます。
・経理業務の円滑化
経費処理において、経理担当者の業務コストは掛かってまいります。
そこで法人クレジットカードを導入することで、会社の口座から引き落とされ、手数料のコスト削減へと繋がります。
個人事業主で検討されている場合、確定申告で面倒なレシートと領収書の整理を軽減したいと言う方も多いかと思います。
法人クレカを使うことで面倒な作業を避けることも可能となります。
・キャッシュフローの改善
企業経営をするにあたっては、お金の流れが重要となってまいります。
例えば、「売り上げがあるものの支払期日までにお金がない」となった場合、法人クレカによりますが、リボ払いも対応しているところもございます。
リボ払いが使えるところを選べば、キャッシュフローをうまく回すことが可能です。
・ビジネスシーンに役立つツールが盛り沢山
法人カードには個人カードの機能と別に、ビジネスシーンに必要な機能がございます。
例えば、経営相談にのってくれるビジネスコンサルティングサービスや経費の見直しに活用できる改善分析レポートがございます。
・ステータスカードの利用で取引先の信頼も
会社の規模が小さいことで取引先からの信頼をしてもらえないと言った方にとっては、ステータスの高さが評価されるクレジットカードを利用することで、取引先から見た印象も変わるでしょう。
・個人事業主は個人の出費と分けられる
これは個人事業主の方限定ですが、個人事業主の場合、経費部分と個人の出費を分けることが可能です。個人事業主の場合、事業用と個人用を仕訳けずに決済すると、後から見ると「どれが事業用決済」なのかわからなくなります。
このような事態になれば、確定申告で経費を計上できなくなります。
法人クレカを持つことで、事業用と個人の出費を分けることができるようになり、手間がかからなくなり、確定申告をスムーズに進めることが可能です。
法人カードの選び方と法人カードを申し込む方法
今までは法人カードを持つことによる利点について述べてきました。ここからは法人カードを選ぶ際、どのようにして選べばいいのか、申し込み方法について説明していきます。
今からそれぞれの項目について説明いたします。
カード選びの4つのポイント
法人カードを選ぶ際には4点ございます。
その4点とは①利用額②利用人数③利用場所④年会費です。
① 利用額
個人カードと同様に法人カードも利用額がございます。
利用額に関しては、通常のクレジットカードのように20万円~最大500万円まで設けているもの、そして上限がないものまでございます。
ただ選ぶだけでなく、月もしくは年度の出張費や接待費用などがどのくらいあるかも考えて上限額を決めることが良いでしょう。
限度利用額はきっちりな金額でなく、余裕を持った金額を持たせることがお薦めです。そうすれば年度より想定が多い場合でも対応が可能です。
② 利用人数
利用人数に関しては、従業員が多くいる企業の場合、利用する人数を多く選ぶ人数分のカードを選びましょう。追加したカードでも利用者は個人名義となります。
一つのカードを複数の社員で使いまわすことはクレジットカード会社の規約違反になるので、その点は気を付けておきましょう。
多くの追加発行をする場合はできない可能性もございます。
大体の法人カードは3枚までと設定されていますので、大量入社などがある場合は、追加人数が無制限のクレジットカード会社を選ぶことがお薦めです。
③ 利用場所
利用場所は、どこで利用するかで選ぶべき法人カードが決まってきます。
例えば飛行機で出張へ行く割合が多いとなれば、空港ラウンジなどを使うなどの場合、マイルが貯まる法人カードを申し込むこともいいでしょう。
空港ラウンジを使うとなれば、法人カードを活用することで、無料でサービスがついてくるため、経費削減となるでしょう。
④ 年会費
法人カードを選ぶ際、年会費も挙げている企業や個人も多いでしょう。
そのためには年会費をチェックすることを忘れないことをお勧めします。
所有が1枚だけとなれば金額も大きなものではございませんが、社員に複数持たせるのであれば、金額の注意は必要と言えます。
もしかなりの枚数が必要であれば、年会費が比較的に安いものを選ぶと良いでしょう。
法人クレカを作る順序とお勧めのカード
法人クレカを作るにあたって、「順番はどうしたらいいか」「どんなカードがいいのか」と言うことを考えなければなりません。
今からカード発行までの工程とお勧めの法人カードについて説明していきます・
法人クレカの5つの工程の説明
法人カードを作るにあたって工程は「銀行口座の開設」「必要書類の準備」「希望のクレジットカード会社への申し込み」「審査」「カード発行」の5つの工程を経ていかなければなりません。
それぞれの工程について説明していきます。
・銀行口座の開設
法人カードを作るにあたり、銀行の口座の開設は必要です。口座を開設する名義が法人であれば、法人の口座が必要となります。
法人口座を作る際は、会社の登記簿謄本・会社の定款・法人印鑑・代表者の印鑑証明書・実印・身分証明書などが必要です。
・必要書類の準備
必要書類は代表者の本人確認書類と登記簿謄本が必要です。
本人確認書類に関しては、運転免許証やパスポート・在留カード・マイナンバー・住民票などが該当します。
登記簿謄本に関しては、クレジットカード会社の多くは、6か月以内に発行されたもので、コピーでも大丈夫です。
・希望クレジットカード会社への申し込み
法人口座の開設および、必要書類の準備が整いましたら、法人カードの申し込みになります。
手順としてはインターネットでの申し込みと入会申込書の記入が必要です。
入会申込書に関しては、記入と捺印をしましたら、返送するようになります。
・審査
審査は会社の信用情報や代表者の個人情報をします。
会社の信用情報に関しては、企業の財務情報等の審査になります。
審査通過の目安として3年以上もしくは2年続けての黒字が有利と言われています。
ただし黒字が続いているから審査が通るとは限らず、会社の実績が審査の通過要因になることもございます。
代表者の個人情報に住宅ローンの滞納等ございましたら、審査は厳しくなってきます。代表者を連帯保証人にしている場合は気を付けておくことです。
・カード発行
審査が通過すれば、法人カードは発行されます。
法人カードの発行は2~3週間と言われています。
審査の状況等によれば2か月ぐらいかかってしまう場合がございます。
法人カードが必要となった場合、早めの行動が必要です。
法人カードを作るにあたっては、期間が要するためすぐ必要になっても時間が掛かってまいりますので、早ければ3か月前の行動も視野に入れておく必要がございます。
FPがお薦めする法人カードベスト3を選出
法人カードを選ぶにあたって先ほど挙げた中でも、「年会費の安さ」「期間の速さ」「ポイント還元率」等を用いて総合的にお薦めを厳選し、重視しているポイントにそって説明してまいります。
1. 三井住友ビジネスカードfor Owners
三井住友ビジネスカードに関しては、年会費も初年度無料で2年目以降は1375万円で、発行スピードは最短3営業日となっています。
ポイント還元率は0.5%~10%、年会費や発行スピードを重視する方だけでなく、ビジネスシーンのサポートを重視されている方もお薦めであると言えます。
更にはVJAギフトカードが最大1万円のプレゼントがございますので、年会費も安く多くの特典を得ることが可能です。
クレジットの枠に関しては10万円から150万円までが可能です。
2. セゾン・プラチナ・ビジネス・アメリカンエキスプレス・カード
通常の年会費は、22000円ですが、2021年2月15日~2021年5月6日までは無料で、2年目以降は条件付きで11000円となっています。
ポイント還元率は、0.75%~15.25%で、書類に関しても登記簿や決算書の提出も不要で、設立1ヶ月のスタートアップ企業の経営者にとって良いカードと考えてもいいかもしれません。
支払いに関しても、最長56日サイクルなので、資金繰りが楽なので、キャッシュフローにも優しいと言っていいかもしれません。
ビジネスサポートに関しましても、顧問弁護士サービスをご優待価格で対応できる面が魅力的であると考えられます。
3.三井住友ビジネスゴールドカードfor Owners
1位の三井三友ビジネスカードfor Ownersのゴールド版と言ってもいいかもしれません。
年会費に関しては、初年度は無料で、2年目以降は11000円となっています。
ポイント還元率は、0.5%~10%と三井住友ビジネスカードfor Ownersと変わらないと言えます。
発行スピードも最短3営業にとなっております。3位につけさせていただいた理由としては、入会利用でもれなく12000円分の三井住友カードVJAギフトカードが付いてきます。
1位との違いは、クレジット枠が50万円~300万円まで幅広く利用でき、国内や海外へ出張に行かれる際には、5000万円分の海外・国内旅行傷害保険もついてきますので、出張にゆとりが持てると言えます
考え方としてクレジット枠が大規模でなければ、1位の三井住友ビジネスカードfor Ownersにしてもいいかもしれません。
まとめ
法人クレジットカードは年会費を安く抑え、どのくらいのクレジット利用枠があるのか、更には登記簿や決算書の提出がいらないか、更には国内や海外出張での傷害保険はどのくらいついているのかなど考えていかなければなりません。
法人のクレジットカードを持つと経理処理スピードに関しては上がりますが、法人カードと言うように、個人のクレジットカードと違い、引き落とされる口座も企業の口座なので自分のお金でないと言うことを認識する必要性がございます。
それを私用で使うとなれば横領となりますので、社員に持たせてもそのことを伝えなければなりません。
その他には、タッチ決済があるものとないものがあるため、新型コロナウィルス感染症対策として人と接触を避けたいとなればタッチ決済のものを選ぶと良いかもしれません。