クレジットカードや話題のスマホ決済など、近年キャッシュレスはどれを利用しようか迷うほどの種類があり、いろいろ試してポイント還元を狙いたい方も多いと思います。
その反面、「使い方がわからない」・「セキュリティ面が心配」などの理由で躊躇している方もいらっしゃいます。
日本のキャッシュレス決済比率は2019年時点で26.8%。
政府は2025年までに日本のキャッシュレス決済比率を40%程度に増やすことを目指していますが、ようやく目標の約半分に達したところです。
しかし、キャッシュレスは現金よりも安全で、家計管理もしやすく、ポイント還元以外にもメリットがたくさんあります。
そこで、キャッシュレスの知られざるメリットをお伝えしていきます。
【今回の記事でわかること】
- キャッシュレスとは?
- キャッシュレスにできること
- 貯めたポイントを活かす
- 国や自治体も応援
- キャッシュレスの注意点
- その他のメリット
大岡 美紀:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP大学卒業後、旅行会社に就職。現在はキッズ・マネー・ステーション認定講師として、楽しみながらお金について学ぶ親子マネーセミナーを開催。放課後教室やPTA主催のセミナー講師も務める。執筆や大人向けのマネーセミナーでは、日常生活や老後に役立つお金の情報を伝え、子どもとママのためのファイナンシャルプランナーとして活動中。得意分野はキャッシュレス(大人向け・子ども向け)、初心者向け投資など。
1.キャッシュレスとは?
キャッシュレスとは、現金を使わずに支払いをすることを言います。
お釣りのやり取りがなくスマートに支払いを済ませられます。
利用に応じてポイント還元があるのも魅力の1つで、買い物のみならず、電車やバスなどの利用でもポイントを貯めることができます。
一言でキャッシュレスといっても、「クレジットカード」や「電子マネー」「スマホ決済」など様々です。
どのキャッシュレスが使いやすく自分に適しているのかをまず把握することが大切です。
1-1.キャッシュレスの種類
〇クレジットカード
支払い代金を一旦クレジットカード会社が立て替え、後日クレジットカード会社より利用者へ請求されます。
クレジットカードの作成には審査が必要で、収入や職業のみならず、過去に滞納などのトラブルがなかったかなども調べられます。
〇電子マネー
電車やバスなどの乗り物にかざすだけで乗車できる「交通系」と、スーパーなどのお店での支払いで利用できる「流通系」があります。
交通系でも買い物ができたり、お店独自の電子マネーがあったり、どの電子マネーを使うべきか迷いますが、よく利用するお店やサービスで使えるものを持っておくとポイントも貯めやすく使いやすいです。
〇デビットカード
レジでの利用と同時に、支払い口座からすぐに引き落とされて支払いが完了します。
お持ちの銀行のキャッシュカードがデビットカードとして利用できるものもあり、口座があれば15歳から発行できるものが多いです。
〇スマホ決済
スマホに決済アプリをインストールして利用します。
支払い方法をクレジットカードや銀行口座に設定したり、あらかじめ現金をチャージ(入金)してから使うことができます。
キャンペーンによるポイント還元が大きいことで有名です。
店舗での利用は、スマホに表示させたQRコードやバーコードを定員に読み取ってもらう方法と、お店のQRコードを自分がスマホで読み取って支払う方法があります。
1-2.キャッシュレスの支払い方法
キャッシュレスには3種類の支払い方法があります。
どの支払い方法がお金を管理しやすく便利なのかを考えて選びましょう。
なかでもスマホ決済は、利用の度に支払い方法を選択できるものが多く、ご都合に合った使い方ができます。
〇前払い
主に電子マネーやスマホ決済に多く、あらかじめATMなどで現金をチャージしてから利用します。
チャージした金額しか利用できないため、使いすぎを防ぐことができ、子どもにも安心です。
現金だけでなく、銀行口座やクレジットカードからもチャージが可能なものや、残高不足で支払いができないことがないようにオートチャージ設定ができるものもあります。
〇即時払い
デビットカードや銀行系のスマホ決済がこれに該当します。
利用と同時に銀行口座から引き落とされて支払いが完了するので、現金払いと同じような感覚で利用できます。
〇後払い
代表的なものはクレジットカードです。
スマホ決済や一部の電子マネーもクレジットカード払いに設定して後払いにすることができます。
利用日と実際の支払い日が異なるので計画的に利用しなければいけませんが、支払いを一括にまとめられて便利です。
2.キャッシュレスにできること
キャッシュレスは買い物や乗り物への乗車以外にできることが増えてきています。
普段の生活でキャッシュレスを利用し、ポイントが自然に貯まっていくのは嬉しいですね。
2-1.公共料金や税金の支払い
クレジットカードで光熱費や通信費などの公共料金を支払えますが、最近では税金も納められます。
またクレジットカードのみならず、スマホ決済も公共料金や納税が可能になりつつあります。
2-2.市役所や公共施設での支払い
住民票や課税証明書などを市役所で発行してもらう際の手数料や、体育館などの公共施設使用料などもキャッシュレス化が進んでいます。
また郵便局での郵便料金や切手などの支払いにもキャッシュレスが使えます。
2-3.個人間送金
離れた人にお金を送りたい場合、現金書留で郵送するか銀行口座から振り込むことが一般的ですが、いずれも手数料がかります。(条件を満たせば手数料が無料のサービスもあります。)
しかし、スマホ決済の場合、同じサービスを使っている人へ無料で送金することができます。
2-4.給与受け取り
給与の受け取りは、現金で直接いただくか銀行等の口座振り込みがほとんどです。
しかし政府はなるべく2021年春にも電子マネーやスマホ決済などで給与を受け取れるように進めています。
これにより、銀行口座の開設が難しい外国人の方はスムーズに給与を受け取ることができるうえ、海外に暮らす家族への送金が簡単になります。
また企業側は手数料を減らせられるメリットがあります。
しかし、キャッシュレス会社が破綻した場合の保証や不正引き出しへの対応などの課題が残っています。
3.貯めたポイントを活かす
キャッシュレスで貯めたポイントは、買い物での利用で家計を助ける以外に、ポイントを活かした使い方ができます。
3-1.ポイント運用
貯めたポイントの一部または全部を運用し、投資の疑似体験をすることができます。
運用方法は投資初心者でもわかりやすいように数種類のコースから選ぶのみ。
成績により運用ポイントが増減し、好きな時に通常のポイントに戻すことができます。
お金を全く使わずに投資の練習ができるので、気軽に始められます。
筆者は「楽天ポイント運用」を利用しており、ポイントの増減を楽しんでいます。
2020年3月頃のコロナショックではポイントが減少しましたが、その後持ち直し、2021年2月17日には4000ポイントが5194ポイントに増えました。
運用によりポイントが29.8%増えた計算になります。
もし今後ポイントが減少したとしても、もともといただいたポイントなので、精神的にもダメージは少ないです。
3-2.ポイント投資
ポイント運用と似ていますが、こちらは証券会社での口座開設が必要になり、実際のお金を追加して運用することも可能です。
株・投資信託・FXなどの商品から運用することができ、商品によっては手数料がかかります。
投資はある程度お金がないとできないと思われる人も多いですが、ポイント投資は1ポイント(=1円)からスタートできる商品もあります。
3-3.寄付
貯まったポイントを自分のためではなく、人のために使うこともできます。
例えばアメックスやJCBなどのクレジットカードで貯めたポイントや、Tポイント、dポイントなどです。
寄付をするのは少し照れ臭い方でも、ポイントでさりげなく寄付をすることができますね。
4.国や自治体も応援
キャッシュレス推進のために、国や自治体でもキャッシュレスによるポイント還元を行っています。
4-1.国の政策
現在遂行中の事業は「マイナポイント」です。
マイナポイントとは、マイナンバーカードを利用して登録したキャッシュレス決済で買い物やチャージをすると、利用額の25%分(上限5000円分)のポイントが還元される事業です。
本来なら2021年3月で終了する予定でしたが、更なるキャッシュレスの推進とマイナンバーカードの取得を後押しするために2021年9月まで延長されました。
ただし、2021年3月までにマイナンバーカードを申請することが条件です。
他には、2019年10月の消費税率引き上げによる消費の落ち込みを防ぐ対策として、利用額の最大5%分のポイントを還元する「キャッシュレス・ポイント還元事業」もありました。(2020年6月に終了)
今後もキャッシュレス普及に向けての政策があるかもしれません。
4-2.自治体の政策
キャッシュレス決済事業者と自治体が手を組んで、対象店舗での買い物でポイントが還元されるサービスがあります。
例えばスマホ決済の「PayPay」では、毎月いくつもの自治体とキャンペーンを開催し、支払い金額に対して20%ほど(還元率は自治体により異なります)のPayPayポイントを消費者に還元しています。
消費者に嬉しいキャンペーンですが、お店にとってもお客様の獲得につながりありがたいですね。
5.キャッシュレスの注意点
便利でお得が多いキャッシュレスですが、使い方によってはかえって損をする可能性もあります。
〇年会費や手数料
クレジットカードは年会費が必要なものがあります。
クレジットカード会社のポイント還元や付帯サービスが年会費を上回るかをよく検討しましょう。
また、クレジットカードのリボ払いは、月々の支払額が少額になるメリットもありますが、残高に対して手数料がかかります。
手数料を払い続けることがないよう、早めに支払いを終わらせましょう。
〇後払いの管理
クレジットカードでの支払いや、クレジットカード払いに設定したスマホ決済などは、利用日と支払い日が異なるため、実際に銀行口座からお金がいついくら引き落とされるのかを把握していないと、残高不足で支払いができないことも考えられます。
支払いの遅れが続くと、信用に傷がつく可能性があるので、しっかり管理しておきましょう。
〇使いすぎ
現金を使わないため、お金を使う感覚が薄れるという方もいらっしゃいます。
特に子どもは電子マネーを使うことが楽しくてたくさん使いがちです。
現金でチャージする場面をあえて見せるなどして、電子マネーもお金であることを教えてから使わせましょう。
〇ポイントを狙いすぎる
お得なキャンペーンがたくさんあるため、多くのサービスを使ってみたくなりますが、増やせば増やすほど管理が難しくなるうえ、ポイントが分散されます。
複数のキャッシュレスを利用する場合、ご自身が今貯めているポイントと連携できるか、普段の生活で使いやすいか、貯めたポイントも使いやすいかを考えてから試しましょう。
〇キャンペーン条件
例えばクレジットカードの年会費無料キャンペーンは、「初年度のみ無料」や「年間〇円以上の利用で無料」などの条件付きの場合があります。
またスマホ決済によくあるポイント還元のキャンペーンも、上限や支払い方法などに条件があることが多いです。
特典に飛びつく前に必ず確認しましょう。
6.その他のメリット
キャッシュレスは、支払いがスムーズ、国や自治体の応援がある、ポイントを貯めて活かせるなどのメリット以外に、家計管理や安全面でのメリットもあります。
〇支払いをまとめて管理
例えば、スマホ決済の支払いをクレジットカード払いに設定しておくと、クレジットカードの利用明細を見るだけでスマホ決済とクレジットカード両方の利用額を一度に確認することができ、支払い額を把握しやすくなります。
また、利用額に対するポイント還元は、スマホ決済とクレジットカードのどちらにもあるため、ポイントの二重取りができます。
〇紛失や盗難に対応
現金は紛失や盗難に遭った場合、戻ってくることが少なく諦めるしかありませんが、カードやスマホの紛失・盗難は各サービスの窓口に連絡して利用を一時停止することができます。
さらに、もし不正利用があれば損害額が補償されます。(ただし故意や重大な過失でないかなどの調査があります。)
万一のことを考えると、多額の現金を持ち歩くのは危険ですが、キャッシュレスだと心配は少ないですね。
特に旅先では、安心して楽しむためにもキャッシュレスを利用されることをお勧めします。
おわりに
キャッシュレスは、便利でお得なだけではなく、生活に活かし、家計管理にも役立ちます。
国や自治体の政策により、今後ますます消費者へのメリットが増えていくかもしれません。
無理に数多くのキャッシュレスを利用する必要はありません。
ご自身の生活に合う数種類を見つけて、賢く利用していきましょう。
【参考元】